2017-01-04

反グローバリズムの潮流(イタリアの五つ星運動)

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2016年の世界を揺るがせたニュースと言えば、イギリスの国民投票でEU離脱が決まったこと、そして、アメリカのトランプ政権誕生の二つだと思いますが、このニュースは世界中で反グローバリズムの潮流が加速していることを表しています。

2017年の世界経済を考える上で、反グローバリズムの流れから、EUは解体するのか、存続するのかが、大きな影響を与えます。イギリスに次いで、反グローバリズムの勢いが強いのがイタリアです。2016年12月には、EUを支持する現政権が提起した国民投票が否決されました。

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この国民投票で否決されたのは、上院の権限を縮小することで、政治的決定の迅速化ひいては政権の力を強化することでしたから、直接的にEU離脱につながるものではありません。しかし、反グローバリズムを標榜する「五つ星運動」が国民投票の否決を強く訴えており、イタリアで「五つ星運動」の勢力が強くなっていることは間違いありません。

イタリアで、「五つ星運動」が勢力を伸ばしている理由は、マフィアと政治のつながりによる汚職問題も大きな理由のようですが、その背景には、経済の停滞が20年も続き、一向に改善の兆しが見られないことがあります。イタリアの主要銀行は、不良債権問題で危機的状況であり、公的資金の投入が決定したところです。

1993年欧州連合発足以来、23年が経過しましたが、その間イタリアの経済は好転することなく、ギリシャに次いでヨーロッパで2番目に多い国の借金、増加の一途をたどっています。

世界経済の停滞を救うはずだったグローバリズム、その象徴であるEUが全く利益をもたらしてくれないのですから、反EU、反グローバリズムの動きが加速するのは当然です。20年たっても経済の停滞が解消しないということは、グローバリズムが世界経済の停滞を救うというのは嘘であったということです。「五つ星運動」が拡大しているのはこれまで騙されてきた大衆が、グローバリズムの嘘に気が付いた結果なのでしょう。

イタリア国民投票「否決」は何をもたらすのか「ポピュリスト政権やユーロ離脱につながるか」

・イタリアの国民投票は12月5日に終了、イタリアの国民投票はレンツィ首相に手厳しく不信任票を突きつけた。反対のキャンペーンを展開したポピュリスト政党「五つ星運動」や「北部連合」は勢いづいている

・否決自体がポピュリズムというわけではない。国民投票で問いかけた上院の権限縮小は、法案制定プロセスの迅速化、政策基盤の安定化を狙いとした。

・否決ショックが限定的だったとしても、2017年中にも実施される総選挙を乗り切るまでは、気を抜くことはできない。次期総選挙の台風の目となる五つ星運動は、ユーロ離脱の国民投票や政府債務の再編に言及したことがある。ヨーロッパ発で世界を巻き込むような危機を意識せざるを得なくなる。

イタリアの「五つ星運動」とはどんな党なのか?

・五つ星運動は2009年に企業家でウェブストラテジストのジャンロベルト・カサレッジョ氏とコメディアンのベッペ・グリッロ氏によって設立された政党。現在は上院で54議席(定数315)、下院で108の議席(定数630)を確保、2014年の欧州議会選挙でも17議席を獲得

・今年の4月12日にカサレッジョ氏が61歳で亡くなる。一方のグリッロ氏は毒舌を看板にしたコメディアンで、演説やスピーチやツイッターにおいて痛烈に現在のイタリアが抱えている大小の問題を批判。

党の方針は反体制を基本、グローバリズムについても反対、環境保護も主張。腐敗した政界の打破を訴え、国会議員の任期は2期10年まで、国会議員の歳費を労働者の平均年収まで下げる、有罪が確定した人物は国会議員に出馬できない、といった議員制度改革を掲げる。

・現在はEUに対する非難はいくらか低調になっていて、ユーロの代替となる通貨の是非を問う国民投票を提案。

支持層は既存の有力勢力に不信・不満を抱いている若者を中心。SNSを利用した選挙キャンペーンはこうした世代の感覚にマッチ。所属議員の平均年齢も40歳と他の議員と比べておよそ20歳ほど若い。

37歳の「美人すぎるローマ市長」がイタリア人から期待されている理由

・6月19日にローマ市長選でビルジニア・ラッジ氏(37)が当選。女性であること、若い政治家であること、また「五つ星運動」の候補者であることがイタリア及び欧米諸国のメディアで注目された。

・ラッジ氏が直面しているローマ市の問題。ゴミ問題。交通問題。学校や住宅難。なぜイタリアの主都がこのような状況に置かれているのであろうか。答えは「Mafia Capitale(首都マフィア)」である。

・豊富な政治経験を持つ政治家が汚職のスキャンダルに巻き込まれ逮捕された今日では、経験が乏しい若いラッジ氏こそ期待ができると主張する人もいる。

イタリア銀行危機、政府とEUは細心の対応を

・イタリアの銀行最大手ウニクレディトは130億ユーロ(約1兆5600億円)の増資を計画し、大手のなかで最も経営状態が深刻なモンテ・デイ・パスキも、50億ユーロの債務株式化と増資がまとまる可能性がある。だが、このような金額はイタリアの金融システムが必要とする水準と比べれば小さく、最悪の問題は中堅以下の銀行に集中している。

・イタリアの銀行の苦境は、イタリア経済が世界金融危機後に立ち直れていないことに端を発している。イタリアの1人当たり国内総生産(GDP)は実質値で2007年水準を9%下回り、20年前とほぼ同水準に張り付いている。イタリアは、人口高齢化と欧州で2番目に大きい公的債務の下であえいでいる。公的債務のGDP比は130%を超える

List    投稿者 dairinin | 2017-01-04 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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