2020-01-23

プーチン大統領の国内戦略(目指しているのは、西欧の金融支配の経済に変わる、国家経済体制の高度化)

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昨年に投稿したプーチン大統領の世界戦略では、欧米では金融資本が国家を支配し経済発展の限界を迎えているのに対して、ロシアは国家が資本を制御する事に成功しつつあり、世界戦略は脱欧米=脱金融支配に向かっていることを紹介しました。そして、年が明けるとロシアのプーチン大統領は、憲法の改正、首相の交代など国内戦略でも大きな改革を仕掛けてきました。プーチン大統領は何を目指しているのでしょうか。

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あまり大きく報道されていませんが、今回の憲法改正、首相交代の発端になったのが、1月15日のプーチン大統領の年次教書演説です。ここで、憲法改正について発言している訳ですが、社会政策の拡充に多くの時間を割き、安全保障や国際関係については極めて短い言及でした。演説の冒頭、プーチン大統領は「社会は変化を求めている」と強調。国民がはっきりと変化を感じられるように、スピード感を持って社会的諸課題の解決に取り組む姿勢を示したのです。

ゴルバチョフ大統領のペレストロイカ政策によるソビエト連邦の崩壊、エリツィン大統領下では新興財閥「オルガリヒ」による政治の腐敗混乱があり、崩壊の危機に瀕していたロシアを、何とか立て直してきたのがプーチン大統領。様々な批判はあるものの、強力な権力を行使しなければ、あそこまで混迷した国家を立て直すのは不可能だったと言ってよいと思われます。

そして、今回の憲法改正の内容を見ると、明らかに大統領に集中した権力を議会にも一部もたせて、権力を分散していく方向です。また、首相の交代も国内経済の発展を目指す人事配置だと思われます。国家体制が安定したロシアは、欧米の混迷、衰弱という状況を踏まえて、世界戦略で脱欧米=脱金融支配に向かうのと並行して、国内でも権力的な支配体制から、国家による経済運営を高度化し、経済を発展させる方向に転換しようとしているのだと思われます。

プーチン大統領を頂点とする現体制は、強い権力で体制を安定させるには向いていたのでしょうが、経済のように国民の主体的な活力の上昇を図るには向いていない。中国で共産主義と自由経済の両立が軌道に乗って来ているのをみて、ロシアもより経済活動の活性化が図れる国家体制に転換を図ろうとしているのではないでしょうか。ソ連が崩壊した当時は、共産主義が敗北し、資本主義(金融支配経済)が勝利したと言われていましたが、いまそれが逆転しつつあるのです。

 

■露幹部“プーチン大統領2024年に退任” 2019年11月26日

エリツィン元大統領の側近で、現在はプーチン大統領の顧問を務めるワレンチン・ユマシェフ氏は、22日、テレビ番組に出演し、プーチン大統領が現在の任期が切れる2024年には必ず退任すると述べた。ユマシェフ氏は理由については言及していないが、プーチン大統領が任期満了で退任すると顧問が明言したことで、ロシア国内では波紋が広がっている。

■プーチン大統領、2024年の退任示唆 年末記者会見2019年12月20日

プーチン大統領は19日、年末恒例の記者会見で、2024年の任期満了とともに大統領職を退くことを示唆した。プーチン氏は、1人の人物がロシア大統領を務められるのは連続2期までとする憲法規定から「連続」という文言を削除することを支持する姿勢を示した。

プーチン氏は「連続2期を務めた後、その座を降りた。憲法上は大統領職に戻る権利があった」としつつも、「これを気に入らない政治学者や活動家もいる。ことによれば、削除されるかもしれない」と述べた。

■プーチン大統領の年次教書演説、大統領権限の議会への一部移譲を提案2020年1月16日

ロシアのプーチン大統領は1月15日、年次教書演説を行った。人口対策や保健、教育環境の整備、社会構造や産業分野の変更に対応した雇用環境の改善など、社会政策の拡充に多くの時間を割いたほか、大統領の権限を一部、議会に移譲するなど、統治機構の構造改変にも踏み込んだ。他方で、安全保障や国際関係については極めて短い言及となった。

演説の冒頭、プーチン大統領は「社会は変化を求めている」と強調。国民がはっきりと変化を感じられるように、スピード感を持って社会的諸課題の解決に取り組む姿勢を示した。危機感の背景にあるのは、出生率の低下に伴う人口減少と、それによる総合的な国力の低下だ。

演説の終盤、プーチン大統領は憲法について言及した。同大統領は「1993年に制定された憲法の『人権と国民の自由の原則』は今後数十年、憲法の基礎となり続けるもの」として、根本にある理念を維持するとの考えを示した。また、大統領の権限の一部を議会に移譲する方向での、憲法および関連法令の修正について踏み込んだ発言を行った。

プーチン大統領は「議会はより大きな政治的責任を負う準備ができている」とし、組閣において議会が首相や閣僚を指名し、大統領はそれを承認する方式を提案した。また、国防・治安関連省庁は、引き続き大統領直属となるものの、その長の指名は上院との協議を経て行うことも提案した。

■ロシアで首相交代、プーチン大統領は議会権限強める憲法改正を提唱2020年1月16日

ロシアのプーチン大統領は15日、首相交代を電撃発表し、抜本的な憲法改正を提唱した。8年近く在任し自身に最も忠実な1人だったメドベージェフ首相を劇的かつ予想外に更迭した理由について、プーチン氏は公にほとんど説明しなかった。大統領府の発表によると、プーチン氏は後任の新首相にミシュスチン税務庁長官(53)を指名した。メドベージェフ氏は今後、大統領が議長を務める安全保障会議の副議長に就く。首相交代は政府中枢にとっても寝耳に水で、下院議長は議員らとの会合を中断して真偽を確認した。

メドベージェフ氏は国営放送で自身の首相辞任と内閣総辞職を明らかにし、プーチン氏が打ち出した改革は憲法と権力バランスの「根本的な変化」を意味すると説明。「このような状況で、内閣総辞職は正しいと思う」と語った。同氏に対しては過去5年間の低調な経済成長と生活水準の停滞を巡り批判があった。

ミシュスチン氏は無秩序だった税務庁にコンピューターシステムを導入して脱税摘発を率い、徴税実績を上げた実務家として知られるが、有力な政治家とはみなされていなかった。

■プーチンの狙いは本当に「院政」なのか 識者が読むいくつかの可能性2020年1月17日

「変更」案の背後にあるプーチン氏の思惑については、「院政」(日経)、「実権維持にらんだ布石か」(読売オンライン版、16日)といった報道が目立つ。小泉氏の見方はどうか。小泉氏は2つの可能性を指摘した。

1つ目は、憲法改正をして「2024年以降」に備えるためには3~4年が必要とプーチン氏が判断し、また首相には、実務的な能力に疑問符がつくメドベージェフ氏よりも実務家が望ましいと考えた、というもの。

2つ目に考えられるのは、プーチン氏が後継を育てるために2024年を待たずに大統領職を引くことだ。プーチン氏の健康問題が関係している可能性も排除はできない。

また、メドベージェフ氏については、昨今の支持率低下などを受け「更迭された可能性」(ザ・ウォールストリート・ジャーナル日本語ウェブ版、16日)を指摘する向きもあるが、小泉氏は、「後継」としての目はまだ消えていないと見ている。

ロシア国内では経済低迷や年金改革への不満から政府への反発も強まっている。プーチン氏の思惑がどうあれ、希望通り事が進むかどうかは未知数だ。

■プーチン氏、24年退任を示唆 憲法による大統領任期の制限支持2020年1月19日

ロシアのプーチン大統領は18日、憲法が規定する大統領任期の制限を支持すると表明、現在の任期が切れる2024年以降は大統領にとどまらず、後継者に権力を移譲する考えを示唆した。第2次大戦に参加した元兵士らとサンクトペテルブルクで会談した場で表明した。

■ロ大統領、憲法改正案を議会に提出 退任後の権力固めに布石2020年1月21日

ロシアのプーチン大統領は20日、政治システムの大幅な改革に向けた憲法改正案を連邦議会下院(ドゥーマ)に提出した。こうした動きを通して現在67歳のプーチン氏が24年の任期終了後も権力を握り続ける公算が大きいとの見方が強くなっているが、プーチン氏は政治指導者が死ぬまで権力を掌握し続ける旧ソ連の慣習は支持しないとの立場を示している。

検事総長については、06年から務めていたチャイカ氏の後任として、イーゴリ・クラスノフ連邦捜査委員会副委員長を指名。大統領府によると、チャイカ氏は別の職務に転出する。クラスノフ氏は44歳。連邦捜査委員会副委員長として15年に発生した野党指導者ボリス・ネムツォフ氏殺害事件などの重要事件の捜査に当たってきた。

下院は23日にプーチン氏の提案を討議する。プーチン大統領は改革を巡り国民投票を実施すると表明。

■プーチン氏のロシア憲法改正案 ポイントを見る2020年1月21日

大統領任期は通算2期まで。」現行のロシア憲法では大統領の任期は、連続2期までと規定されている。プーチン氏はこの抜け穴を使い、連続2期を務めた後に1期だけ首相に就いた後、大統領に再任し、現在通算4期目を務めている。改憲により、プーチン氏の後継者は同じことができなくなる。

新国家評議会」改憲案では、新国家評議会は国家機関の相互調整を行い、「内政および外交政策の主な方向性」や「社会・経済発展の優先分野」を決める役割を担うとしている。さらにプーチン氏がこの新評議会の議長に納まるのではないかとの臆測も浮上している。

外国の旅券・滞在許可の保有者が公職に就くことを制限」大統領になるためには在住期間25年以上のロシア永住者である必要がある。この条項は、米国への留学経験がある野党勢力指導者のアレクセイ・ナワリヌイ氏のような人々を標的にしたものではないかと疑う声もある。

連邦議会への権力集中」下院が首相候補や閣僚候補らを承認し、その後大統領が正式に任命する。

■プーチンが指名した新首相ミシュスチンって誰?2020年1月22日

世間的には無名に近い存在だが、財界では国内屈指の有能な実務官僚として知られており、連邦税務庁の長官として、非効率で腐り切ったロシアの税制を現代化した実績は国内外で高く評価されている。2018年の再選後に、プーチンは総額4000億ドル規模の大規模な公共事業の実施を約束している。公約の3本柱は貧困の削減、景気の拡大、人口の増加だったが、いずれについてもメドベージェフ内閣は目ぼしい成果を上げられなかった。だからプーチンとしては、ミシュスチンが評判どおりの実務能力を発揮して官僚を動かし、これらの国家プロジェクトで結果を出してくれることを期待している。

プーチンが権力を掌握した頃は原油価格が高く、国民の所得も増えていた。だから支持率も高かったが、今はそんな時代ではない。国民の可処分所得は今も2013年の水準を下回っており、欧米諸国による経済制裁と原油価格の低迷で景気の先行きは暗い。当然、政府への反発は強まる。プーチンはミシュスチンの起用でロシア全体を「連邦税務庁のような国」に変え、ロシア経済の現代化を推進したいのだろう。

このところ、メドベージェフのイメージは急速に悪化していた。不人気な政策のスケープゴートにされてきた面もあるが、官僚の腐敗を暴く反政府派の指導者アレクセイ・ナワリヌイらの運動でやり玉に挙げられたせいでもある。

List    投稿者 dairinin | 2020-01-23 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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