2008-10-14

『ウォールストリート;恐怖の8日間』より(4)当面の国債発行の手順

前投稿からのつづきです。

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■4.米欧の政府・中央銀行の対策
▼米国政府と中央銀行
米政府は、$7000億(70兆円)を、金融機関の救済資金として、(これから)出すことを、約束しています。とても、この額では足りなくなることは、容易にわかります。
内容は、
・主要金融機関の不良債権・証券の買い取りと、
・340兆円の残高のMMF(個人預金)の、保護用です。
(注)米国政府が出資することは、まだ決定していませんが、近々、破綻金融機関へ出資することになるでしょう。
▼英国と欧州大陸
先週末に、英国と大陸欧州では、資金繰り難におちいった金融機関に対し、次々に、政府による資本注入(出資)の決定(つまり一時国有化の宣言)が行われています。
欧州では、金融機関間の、短期取引(コール・ローン)についても、各国政府が保証するという。取り付けが起こると金融が崩壊する預金も、政府が保護しています。
まとめて言えば、米欧の政府と中央銀行が、金融危機の後始末をしなければならない。他に、手段はないからです。
▼すでに100兆円を注いだFRBとECB
米欧の中央銀行(FRBとECB)は、銀行間の短期資金市場が消えたことを補うために、08年10月時点で、すでに100兆円の短期資金を、供給しています。
今後、どれくらいの資金を投入できるのか?
物的担保としては「国債と金融機関から買う証券」しかないペーパー・マネーですから、無限に、紙幣を印刷(実際は金融機関と政府への貸付)ができます。
(注)今日の時点では、日米欧の中央銀行とG20カ国は、金額に枠を設けず、必要なら、いくらでも資金を供給するという「青天井宣言」をしています。日本も、ペイオフをはずし、政府が、預金を全額保護するという。無際限の、資金供給です。
以下で、中央銀行のマネー供給の仕組みを見ます。
■5.中央銀行はどういった形で、金融機関に、資金供給を行うのか?
わが国日銀の、貸借対照表を見れば、中央銀行のマネー供給の仕組みがわかります。(08年9月30日現在)
リンク
 
   【資産】           【負債及び資本】
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・金の保有    0.4兆円  ・発行紙幣    75.5兆円 
・現金紙幣保有  0.2兆円  ・当座預金預かり 16.3兆円
・買現先勘定   8.7兆円  ・政府預金預かり  2.5兆円
・保有国債   65.5兆円  ・売現先勘定   11.4兆円
・金銭信託    1.2兆円  ・その他負債    0.8兆円
・貸付金    27.1兆円  ・資本勘定     5.8兆円
・外国為替    8.6兆円
・その他     0.6兆円
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
資産合計   112.5兆円   負債・資本   112.5兆円
(注)現先勘定は、一定期間後に買い戻す(買現先)、または売戻すこと(売現先)を条件にした債券の、短期での売買残です。
概略でいえば、日銀は、
・日本国債を65.5兆円分買い、
・金融機関への円の貸し付けを27.1兆円行い、
・金融機関へ米ドルの貸し付けを8.6兆円分(=外国為替)行っていて、
 それらの資産を根拠にして、
・75.5兆円の1万円札を発行していて、
・18.8兆円を、金融機関と政府から日銀当座に預かっていると言うこ
 とです。
日銀のマネー供給額とは、[紙幣発行の75.5兆円+当座預金での預かり18.8兆円=94.3兆円]を言います。
そのマネー供給の裏付けになっているのが、[国債65.5兆円+円の貸付証書27.1兆円+ドルの貸付証書8.6兆円=101.2兆円]です。
▼マネー発行の担保は、要は、国債
以上の、わが国日銀の例で見るように、各国中央銀行がマネーを供給するときは
(1)担保として国債を買う、
(2)貸付証書を作成する、
(3)金融機関が持つ証券を買う、ということです。
【信用の根幹】
従って、中央銀行の信用は、
(1)担保として取った国債の信用(=国の財政の信用)、
(2)民間金融機関への貸付証書の信用(=金融機関の財政の信用)、
(3)買った証券の信用、ということになります。
つまり、中央銀行の信用とは、
・国家財政の信用と、
・金融機関の信用が根源です。
しかし、今、米欧の金融機関は、自己資本を失い、信用がない。そのため、金融機関の間の、短期資金市場(インターバンク・マーケット)が停止しています。
つまり、金融機関への貸付証書と、金融機関が担保に出す価値が下がった証券の信用は、薄くなった。
どうしたらいいか。
【国債の信用が根底になる】
(1)財務省が、国の財政の信用を元に、国債(=借用証)を発行する。
(2)中央銀行が、国債を担保に預かり、財務省の当座預金の口座に、現金を振り込む。
(3)各国の財務省が、自己資本を失った金融機関に、その資金を振り込む。あるいは増資・優先株・劣後債の発行に応じる。

以上のような、構造です。

(続く)

List    投稿者 watami | 2008-10-14 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨3 Comments » 

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コメント3件

 aruih | 2009.03.14 15:31

mihoriさん
日本版ビッグバンの狙いがよく分かりました。
自由化、公正化、国際化と言えば耳障りはいいですが、箍が外れるとどうなるか。今回の市場の持つ本性の顕現化がそれを証明してています。
どこかの国の国家資本主義体制というのも極端ですが、政府・日銀・銀行・企業の連携による護送船団方式は極めて日本的で優れたシステムではなかったかとおもいます。改めて、チーム日本の可能性を追求すべきではと思っています。

 mihori | 2009.03.15 20:42

aruihさん♪コメントありがとうございます☆
>政府・日銀・銀行・企業の連携による護送船団方式は極めて日本的で優れたシステムではなかったか
役割を明確に固定することで、全てが統合される仕組みになる仕組みだったんだ〜って初めて知りました☆
確かにとっても日本的で優れたシステムですよね♪
>チーム日本の可能性を追求すべきではと思っています。
ですよね〜♪なんだか沢山可能性を秘めている感じがして、ちょっとワクワクしてきます(*^^)v

 wholesale bags | 2014.02.10 10:30

金貸しは、国家を相手に金を貸す | 日銀の金融政策が機能しないのはなんで? 〜金融ビッグバンの狙いとは?

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