2021-08-25

アフガニスタンは、「テロの温床」「帝国の墓場」など言われているが、今回のアメリカ撤退の騒動って何なの?

アフガニスタンからアメリカが引き上げ、タリバン政権が再建すると言って大騒ぎしています。断片的なニュースばかりで何が問題、課題が分かりにくい状況です。

そこで関係国などの思い(≒どのように見えているのか)を中心にポイントをまとめていました。

◆アフガ二スタンが再び「テロの温床」にならないか
タリバン政権が再建するとアルカイダのようなテロ組織を再び許容して、再び世界中にテロをばら撒く温床とならないかと世界各国が危惧している。

◆アフガ二スタンは「帝国の墓場」
歴史的に見てアフガニスタンに手を出した大国は全て崩壊するか弱体化しています。マケドニア王国、モンゴル帝国、大英帝国、ロシア帝国、ソ連、アメリカがその例です。アフガニスタンは勝つまで戦うので負けないのです。

最近の4つのアフガン戦争。
【1】1838年から1919年にイギリスと3度戦って最後には完全独立を果たした戦争。
【2】1978年から始まった内戦にソ連が介入してきたいわゆるソ連・アフガン10年戦争。
【3】1989年にソ連が撤退し内戦が起り、97年からタリバンが政権を奪取。
【4】2001年からは9.11を受けたアメリカの侵攻でタリバン政権は崩壊しアメリカ傀儡政権に。

 今回でアフガニスタンに関与する国がアメリカから中国にバトンタッチした(?)
 果たして中国はアフガニスタンをコントロールできるのか?
 はたまた中国もアフガニスタン対処に疲労困憊するのか?
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◆アフガニスタンは、
イスラム原理主義の複数の部族が集まった多部族国家。96年にタリバン政権を樹立、イスラム法の厳格な解釈に基づく統治を敷いた。昔ながらのイスラム教を厳守することが女性差別なると云われ世界中から非難を受けた。また、ビンラビンの引き渡しを拒んだことで米英の攻撃を受けてタリバン政権は崩壊した。その後農村や山岳地域に逃れて勢力を回復させアヘンの原材料となるケシを麻薬ビジネス(世界一のアヘン産地)をしながら巻き直し、20年間も対抗しのついにアメリカを追い出した。反米派が多いイスラム世界ではアメリカに勝ったことは大きい評価となる。中東の勢力バランスが大きく変化する。

◆ロシアは、
イスラム教の拡大を恐れて1978年アフガニスタンの内戦に参戦(≒侵略)するが10年戦ったが敗戦。それが原因の一つとしてソ連は崩壊した。ロシアにしても鬼門。中央アジアの旧ソ連圏同盟諸国のために国境の安全を確保したいと共に、テロ活動の麻薬取引の拡散を阻止したい。

◆中国は、
ウィグル族の武装勢力が現在もタリバンと協調している。タリバンの「テロの温床」支援でウィグル武装勢力のテロが過激化しないようにしたい。一帯一路の途上にあるアフガニスタンを経済支援すること取り込んで、ウィグル族には手出ししてくれるなというのが思いが強い。

◆アメリカは、
世界同時テロの主犯としたビンラビンをかくまう事からアフガニスタンを攻撃して政権を崩壊させ、アメリカの傀儡政権を樹立させた。が、タリバンはその後、巻き直して戦争が泥沼化。アメリカはガニ政権を20年間支援してきたが、汚職紛れで統治力なし。CIAの麻薬ビジネスと兵器の消費により一部の人たちの利益はあったが、国家として得るものは何もなかった。

アフガニスタン支援が重たくなって国民賛同を得られないアメリカは、オバマに続きトランプが2020年にタリバンと交渉してアメリカ軍撤退しその後はガニ政権とタリバンの合同政権を作るという和平合意書を締結。

アメリカ軍が撤退始めたら、ガニ政権の軍隊は総崩れとなりあっという間にタリバンが全域を支配してしまった。

アフガニスタンの内政干渉して政権を潰し新たな政権を作ったが、うまくいかなくなったので撤退して元のタリバンに政権に返すというアメリカの行為、これがあまりにも無責任だと国際社会から非難を受け、アメリカは同盟国からの信頼も大きく落としている。

◆金貸し(市場社会を制覇してきた輩)
金貸しは金食い虫のアフガニスタンから撤退(中東の石油利権の影響力も衰退していく)。アメリカは中東から撤退して石油利権から離れていく。
アフガニスタンは反市場派で民族主義。
金貸しは中東の石油利権からアジアに軸足を移行。

◆奥の院(金貸しのさらに奥から世界を采配してきた支配者)
過剰消費経済を縮小させて世界環境を守りたい奥の院。
アメリカを中心等する市場経済社会(≒近代化、民主主義化、グローバル化)が堕落であると考えているタリバンとは、歩調が合っているのかもしれません。

以上、by猪飼野

List    投稿者 dairinin | 2021-08-25 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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