2020-04-02

コロナウイルス危機、世界秩序は保たれるか

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世界の感染者が82万人、志望者が4万人に達したコロナウイルス、世界各国で都市封鎖や外出禁止措置が取られ、失業率もどんどん上昇しています。大きな暴動はまだ起こっていないようですが、このまま世界秩序は保たれるのでしょうか。

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今までに報道されている秩序崩壊の現象は次の通りです。

・3月12日イタリア、パレルモ、モデナ、ミラノを含む計27の刑務所で火災や暴動などの抗議。

・3月15日アメリカ、暴動に備え弾薬の買いだめ現象。

・3月18日ブラジル、四つの刑務所で暴動が起き、約1400人の囚人が脱獄

・3月23日コロンビア、新型コロナ対策を求めて刑務所で暴動、囚人23人が死亡

・3月30日伊シチリア、金に困った住民らがスーパーで略奪 。

・3月30日タイ、刑務所で暴一部脱獄 新型コロナのうわさ引き金。

・3月31日インド、全土で混乱、暴動の懸念、首相は謝罪に追い込まれた。

・4月2日メキシコの収容施設、新型コロナ恐れた移民らが暴動、1人死亡。

・4月2日国連とWTO、新型コロナに続き「世界的食料危機」の恐れ警告。

この流れを見ると、当初は刑務所で暴動が発生していましたが、それが一般社会に広がってきている傾向が見えます。その原因として特に大きいのが、都市封鎖や外出禁止で失業し生活が苦しくなった人が増えてきていることのようです。

そして、もう一つは不安心理。日本でも、マスクに始まり、トイレットペーパー、食料などがなくなるという不安心理から、買いだめが発生しましたが、本当に手に入らない状況が続けば、それが略奪や暴動に発展する可能性が高まります。

WTO、新型コロナに続き「世界的食料危機」を警告していますが、これは、労働力不足で生産が減少することを契機に、食料不足の不安から各国が輸出を控え市場に流通する食糧が一気に減少することを予測しています。

日本の食料は輸入に依存しており、さらに農業の担い手である海外からの研修生が大きく減っているため、国内の食料生産も減少が予測されています。マスクやトイレットペーパーは無くても生きていけますが、食料は生死に直結しており、食料不足が顕在化した段階で世界秩序は崩壊する危険性がありそうです。

 

■新型コロナが引き出した大衆の深層心理の闇2020年3月10日

「外国人に対する恐怖やデマ、ばかげた治療法。ペストがイタリアで大流行した17世紀の混乱の様子は、まるで今日の新聞から出てきたようだ」

車内で咳(せき)をしただけで怒号が飛び、ドラッグストアの前ではマスク購入を巡る取っ組み合いのけんかが起きている。私の友人は電車の中で咳をしたら「周りからどんどん人がいなくなり、殺されそうな目で見られた」と嘆いていた(彼女は難病があり乾燥した空間に行くと咳が出るので、常にマスクを着用している)。中華街には外国人を罵倒するビラが送りつけられ、コンビニのトイレではトイレットペーパーに鎖が付けられていたところも。なるほど、盗難防止ということか。

ペストは「ユダヤ人のせいだ!」という根拠なき噂や臆測をもたらし、ユダヤ人迫害という民衆の行動を招いた。1382年、暴徒たちはパリのユダヤ人街で略奪と破壊を行い、1391年には、セビリアの助祭長が「ユダヤ人に対する聖戦」を扇動。暴徒はユダヤ人街に押し寄せ、およそ4万1000人のユダヤ人が殺害され、ストラスブールでは、 2000人のユダヤ人が火刑に処せられたという記録もある。

ドラッグストアの店員さんが「コロナより人間が怖い」とtwitterで悲鳴を上げ、多くの共感が集まったが、その根っこにある心の動きは過去の感染症流行時と全く同じだ。「今まで優しかった人々が、殺気立って、とにかくイライラをぶつけてくる。『次の入荷はいつ?』『いつもないじゃない』『1個くらい取っておいてよ』と電話でも、対面でも何度も何度も聞かれ、その度に『すみません』『申し訳ありません』と頭を下げている。人が鬼に見える。正直ノイローゼ気味だ」

■新型コロナウイルス感染者1万人を超えたイタリア、刑務所でも暴動が起きるカオスな状態に2020年3月12日

ミラノの南側近郊にあるオペラの刑務所をはじめに、直接の面会を禁止し、週に1回の電話に制限したのです。するとパレルモ、モデナ、ミラノを含む計27の刑務所で火災や暴動などの抗議が起き始めました。この抗議により2020年3月9日の時点で、6人の死者と多くの負傷者が出ています。

■買いだめするなら「豆と弾薬とバンドエイド」の真意。2020年3月1 5日

米国の“弾薬買いだめ現象”の裏側には、日用品が手に入りにくくなるタイミングで「暴動や略奪が起きるのではないか」「仮に起きても、政府が守ってくれる保証はない」という米国市民の危機感があるとする見方がある。というのも、2005年に大型ハリケーン「カトリーナ」がルイジアナ州を襲った際には略奪が起きるなどの混乱が生じた。無論、その背景には脈々と続く人種差別や格差と不平等の問題があるのだが、アメリカでは「日用品が手に入りにくくなるときに暴動・略奪が起きる可能性」を想定することは、必ずしも過剰反応というわけではない。

■ブラジル1400人脱獄、新型コロナで外出なくなり暴動2020年3月18日

ブラジル・サンパウロ州矯正当局が新型コロナウイルス対策として囚人への特例の外出許可を取り消したところ、16日に四つの刑務所で暴動が起き、約1400人の囚人が脱獄した。17日までに約600人が再収監され、警察当局が残りの脱走者の行方を追っている。

■【コロンビア】 新型コロナ対策を求めて刑務所で暴動2020年3月23日

刑務所で新型コロナウイルス感染症に対する対策を要求した囚人たちによって始められたデモが衝突に変わった。首都ボゴタにあるラ・モデロ刑務所で発生した暴動では囚人23人が死亡、囚人83人が負傷した。

■金に困った住民らがスーパーで略奪 「食べていかねば」とも 伊シチリア2020年3月30日

イタリア南部シチリア(Sicily)島で、食料を買うお金がなくなった地元住民らが、複数のスーパーマーケットで略奪を働いたとの報告を受け、警棒と銃を手にした警察官らが商店の警護に乗り出した。

感染拡大の封じ込めを目的としたロックダウン(都市封鎖)により、イタリア全土では12日以降ほぼすべての活動が停止。数百万人が安定した収入を奪われている。イタリアの最後発地域の一つであるシチリアでは26日、住民たちの積み重なった絶望感が沸点に達したと伝えられており、日刊紙レプブリカによると、パレルモにあるスーパーマーケットで、地元住民の集団が支払いをせずに商品を持ち去った。「私たちには支払う金がない。(それでも)食べていかなくてはならない」とレジ係に向かって叫ぶ住民もいたという。

■タイ刑務所で暴動、一部脱獄 新型コロナのうわさ引き金2020年3月30日

タイ東北部ブリラム県の刑務所で29日、新型コロナウイルスが所内で発生したといううわさが引き金となって暴動が起きた。受刑者は食堂や面会室に火を放つなどして暴れ、10人が脱獄した。「終身刑を言い渡された受刑者がウイルスのうわさを広めて扇動した」

■インド全土で混乱、暴動の懸念 封鎖から1週間、経済活動停止2020年3月31日

中国に次ぐ13億6600万人超の人口を抱えるインド政府が、新型コロナウイルス対策として全土を封鎖し、3月31日で1週間となった。突然の経済活動停止が混乱を呼び、モディ首相は謝罪に追い込まれた。保健当局は効果を強調するが、収入を失った労働者による暴動の懸念も生じている。

■新型コロナで理性失うインド市民、嫌がらせやデマ横行2020年3月31日

最初の検査は陰性だったが、父親サミル・クマル・ミトラさんの容態は徐々に悪化。次の検査で陽性となった2日後の23日に死亡し、家族を悲しみに突き落とした。同時にコルカタ市民から湧き起こった罵詈(ばり)雑言の嵐に、サトヤキさんはショックを受ける。

コルカタの街中では、ウイルスをまき散らすとしてサミルさんの火葬をやめるよう求める群衆と警察が何時間も衝突。フェイスブックに残ったサミルさんのアカウントには、彼が息子とその米国人の妻に会って死のウイルスをコルカタに持ち込んだとの批判が書き込まれた。「彼のようなやつらのせいでコロナウイルスがやってきた。やつらを銃殺しろ」

インドではかねて、イスラム系住民とヒンズー系住民の間で過去数年で最悪の暴動が頻発し、フェイクニュースなどがそれを助長している。この国で厳しい批判やデマが広がると、民衆は容易に妄想にとらわれて理性を失い、暴動にまで発展し得ることが浮き彫りになった。

■新型コロナ恐れた移民らが暴動、1人死亡 メキシコの収容施設2020年4月2日

メキシコ南東部タバスコ(Tabasco)州にある移民収容施設で、新型コロナウイルスへの恐れから暴動が起き、グアテマラ人の移民1人が死亡、20人以上が負傷した。

■新型コロナに続き「世界的食料危機」の恐れ、国連とWTOが警告2020年4月2日

現在進行中の新型コロナウイルス危機に当局が適切に対応できなければ、世界的な食料不足が発生する恐れがあると、国連(UN)専門機関の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)、関連機関の世界貿易機関(WTO)の3機関のトップが1日、警告した。

「食料品の入手可能性への懸念から輸出制限のうねりが起きて国際市場で食料品不足が起きかねない」と述べた。これは根拠のない脅しではない。2007年の世界金融危機後には、コメの生産国であるインドとベトナムがコメの国内価格の上昇を避けようと輸出を規制した結果、コメの国際価格が急騰して一部の発展途上国で暴動が起きた。

より長期的には、封鎖命令と人の移動制限によって農業労働者の確保や食料品の市場への出荷が不可能になり、農業生産が混乱するリスクがある。速やかに打開策を見いださない限り、米国ではメキシコからの季節的農業労働者の不足で多くの作物の生産がリスクにさらされる。西欧でも北アフリカと東欧からの労働者の不在により、同様の結果を招きかねない。

List    投稿者 dairinin | 2020-04-02 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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