2008-05-08

基軸通貨ポンドは衰退、されどロンドンは金融覇権の一翼を担っている

世界の基軸通貨の成立、大英帝国ポンドから米国ドルへの転換については、るいネットの以下の投稿にまとまっています。 
 
中央銀行の系譜と世界初の為替銀行 
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【基軸通貨】英国ポンドと米国ドル比較 〜基軸通貨化から四半世紀で転換期!?〜
リンク 
 
英国基軸通貨ポンドの衰退過程
リンク 
 
金融覇権の都市移動でみると、ジェノバ、ヴェネチア、アムステルダム、ロンドン(シティ・オブ・ロンドン)、ニューヨーク(ウォールストリート)と移っている。 
 
現代の金融ニュースには、ジェノバ、ヴェネチア、アムステルダムは余り登場しないが、ロンドンはNYと並ぶ頻度で登場する。 
 
国際金融(金貸し)の本拠地としては、ロンドンは依然として、NYと並ぶ拠点となっている。そして、サッチャーの新自由主義政策により、英国が「金融立国」ともいえる「復興」を果たしている。 
 
その様相を、野村総合研究所の近藤さんのレポートから紹介してみます。 
 
①英国のGDPに占める金融業の比率は、2006年で9.4%。2001年以降、継続的に拡大しており、低落傾向にある製造業とは対照的である。
②法律、会計となどの金融業に近い専門サービスを加えると、GDPに占める比率は製造業を逆転している。
③不動産業を含めた雇用数は、2006年で64万人、全雇用数の20.5%を占めている。
④2000年から2006年への雇用者増加数185万人のうち、金融・不動産業が88万人。雇用者増加の半分を占めている。
 (③とは整合していませんが、近藤さんのレポートではそうなっています。)
⑤金融業を中心にしたこのようなプロフェッショナル産業は、英国にとってまさに基幹産業である。
⑥英国は、対外資産はマイナスであるが、投資収益はプラスである。
⑦海外から預金を集め(低利の資金を導入し)、ベンチャーキャピタルや投資銀行のように投資し、利益を上げている。 
 
参考:「金融立国・英国」
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英国の金融復興には、サッチャー政権が手がけた「都市再開発」が密接に関係しています。 
 
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それは、手狭となったシティ・オブ・ロンドンから、金融センターの受け皿として、ドックランズ再開発の一つとして、カナリー・ワーフが完成したからである。 
 
ドックランズ(London Docklands)は、イギリスのロンドン東部、テムズ川沿岸にあるウォーターフロント再開発地域の名称。 
 
カナリー・ワーフはロンドン・ドックランズの西インド・ドック(ドッグ島)を中心とする地域。ロンドン中心部の古くからの金融街である「シティー」に対抗する様に、イギリスの三大高層ビル(ワン・カナダ・スクウェア、HSBCタワー、シティグループ・センター)が建設されている。 
 
このカナリー・ワーフにどのような金融機関が進出しているかは、以下の図に詳しく出てきます。 
 
document5.jpg 
 
図は、銀行員.comの山本金融大臣インタビューから拝借しました。
リンク 
 
商業銀行では、HSBC(香港上海銀行本店)、クレディ・スイス銀行、シティグループ(シティ銀行)が拠点を構えている。
投資銀行(証券会社)では、モルガン・スタンレー、リーマン・ブラザーズ、ベア・スターンズが拠点を置いている。
それ以外にも、大手の会計事務所KPMGや法律事務所が立地している。 
 
250px-Canary_Wharf_1_Canada_Square.png
写真は、ウイキペディアのカナリー・ワーフの項から使用。
HSBCタワー(左)、ワン・カナダ・スクエア(中央)、シティグループ・センター(右) 
 
ロンドンには、世界最大の通信社「ロイター・トムソン」がある。また、世界の保険(海運保険や各種再保険)の元締めである「ロイズ・オブ・ロンドン」が本拠地を置いている。 
 
英国ポンドは、退場しつつあるが、金融覇権都市・ロンドンは健在なのである。 
 
そして、金融都市ロンドンが主要に取り扱うのは、ポンドとドル(米国ドル、豪州ドル、カナダドル)。 
 
その意味では、フランクフルトにある欧州中央銀行の「ユーロ」とは、距離を置いている。 
 

List    投稿者 leonrosa | 2008-05-08 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨5 Comments » 

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コメント5件

 aruih | 2008.08.09 22:59

 道州制導入のメリット(重複行政の解消等)も否定はできないが、根本的には行政権の転換が定期的に行われるような統治システムそのものの改革こそが求められているように思います。
 
 現在、橋下知事が大胆な改革を府政で実現すべく取り組まれており、財政再建への展望が少し見えてきたようにおもいます。このように知事一人の能力だけでも改革は進みますが、もっと大胆に役人の過半を民間人に代えるようなことができれば更に改革は進むでしょう。
 
 専ら少しでも多くの予算を使うことだけが仕事の頭の構造とお金を稼ぐ(財源をつくる)側で鍛えられた頭の構造は明らかに違っているはずです。

 toorikakari | 2008.08.10 10:19

国も地方も借金で首が回らない。
その回らない首でものを考えても、よい答えは出ない。
そんな気がします。
もっと違った視点でものを考えられる体制が必要ですね。

 nettojyu-min | 2008.08.11 10:13

地方分権といいながら教育、産業、厚生、建設などの行政執行の局面では、肝心の役人の意識は、市は府や県に、府や県は国に指導を仰ぐ(=依存)する局面を相変わらず目にします。この意識構造はそうたやすく変えられないように思います。財政再建を強烈に打ち出している大阪府の橋下知事にしても、最後のところは国に「何とかせよ」とのレベルにとどまっていると思われます。
自治を打ち出すなら、財政圧縮の無理を強いる政策だけではマインドはどんどん冷え込み縮小再生産のデフレスパイラルに陥るだけでしょう。(現在は、サブプライム問題が引き金となって投機資金が原油に向かいその高騰によってスタグフレーションの様相を呈してきていますが)
既に、答えを出せずにいるトップ(国)の行政手腕を今更期待する事は無理でしょう。いつまでも上に依存する体質を脱却し、実際に成功している具体的な事象に学ぶ事が求められているのだと思います。それも政治家ではなく、今や普通の人たちからの提起が社会を動かすように思います。
その可能性を開くのがネットの世界だと思います。
ネットも今はどちらかというと魔女狩に加担している面もありますが、リナックスやウィキペディア等のようにネットによって全うな評価を獲得しつつあるウェブも出てきています。

 モンクレール サイズ 0 | 2012.11.20 12:20

今日は よろしくお願いしますね^^すごいですね^^

 apricot hermes bags | 2014.02.02 9:32

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