2021-06-17

マクロン=金貸し勢力の低迷が加速するフランス

2021040700005_320210424at54S_p

週に「ドイツで緑の党が伸びているのは、反金貸し勢力の影響か」とお伝えしましたが、EUを支えるもう一つの大国、フランスではどうなっているか見てみました。金貸し勢力が低迷していることは共通ですが、フランスでは緑の党はよりも民族派のルペン氏の支持が伸びています。

にほんブログ村 経済ブログへ

フランスでも、緑の党と民族派が共に勢力を伸ばしていると言う点はドイツと共通です。緑の党=反市場拡大、民族派=反グローバリズムであり、どちらも金貸しに反対する勢力です。そういう意味では、フランスでも金貸しと反金貸しの戦いが繰り広げられており、ドイツと同様に、金貸し勢力が低迷を加速しています。

ドイツは緑の党優位、フランスでは民族派優位という違いはありますが、その違いは両国の国民性を踏まえた、反金貸し勢力の作戦の違いだと思われます。

ドイツはナチスによるユダヤ人虐殺の歴史が尾を引いていて民族主義の共認が得られにくい、一方でライフスタイルは質素で市場縮小の共認は得やすい国民性なので、緑の党を主力に展開している。

それに対してフランスは消費好きな国民性で市場縮小の共認は得にくい、一方で自国の文化には強い誇りを持っているので民族主義の共認は得やすい国民性なので民族主義を主力に展開している。

フランスの今年3月に行われた意識調査では、大統領候補の支持率で、民族派のマリーヌ・ルペン党首が28%、マクロン大統領が24%と逆転したという結果も出ており、来年4月に行われる大統領選挙では、民族派が勝利する可能性が高まっています。

 

フランス地方選挙でマクロン政権惨敗、アフターコロナでマクロン大統領の経済優先の政策は見限られた?2020716

628日に行われたフランスの統一地方選挙で、マクロン大統領率いる与党は惨敗。躍進したのは環境政党・緑の党と、極右の国民連合でした。

マクロン大統領は選挙の前の615日に、コロナで大打撃を受けた経済の再生、ロックダウンの解除加速と、海外に頼っていた産業の国内化する形で経済再生を提案。しかし、国民の支持は得られませんでした。

コロナウイルスによる活動の自粛の中で、人々は不要不急な活動の停止を求められ、本当に必要なものが何かを都市封鎖の期間、考えざるを得ない状況になりました。その結果、経済の活性化よりも重要なものがあると実感したのだと思われます。地球環境もその中の一つでしょうし、フランスの文化を守ると言う国民連合の政策もその一つだったのではないでしょうか。

フランスで物議を醸す「緑の党」の環境原理主義20201026

ボルドー市のユルミック市長は9月、毎年恒例の巨大なクリスマスツリーを設置しないと発表した。グルノーブル市ではピオーレ市長が、5Gネットワークの展開を阻止すると発言した。これらの意見は、緑の党の公式な立場ではなく、環境重視の立場から個人の意見として勝手に表明したものである。マクロン大統領は、緑の党が「アーミッシュ・モデル(農牧業による自給自足)」を目指していると批判している。

緑の党が今後、政権を狙うのであれば、環境問題以外の重要政策について党内の意見を集約する必要がある。反経済成長の環境原理主義的な過激派も多い緑の党が果たしてそのような政権構想をまとめることができるのか、疑問もある。

■フランス、今年の成長率見通し引き下げ-新たな全国規模ロックダウン202144

フランス経済は今年、当初想定されたほど大幅な回復とはならない見込みだ。新型コロナウイルスの感染拡大を受け3回目となる全国規模でのロックダウンが4週間にわたり敷かれている。ルメール経済・財務相は、今年のGDP見通しを従来の6%増から5%増に引き下げた。

■ロックダウンのフランスでマクロン再選に赤信号。ワクチンで挽回できるか?202148

321日に大統領選の決戦投票が実施されるとしたら、誰に投票するかの設問に、極右政党・国民連合のマリーヌ・ルペン党首と回答した者が28%と、マクロンの24%を抑えてトップになった。昨年10月の調査ではルペン24%、マクロン23%で並んでいた。

ルペンへの支持率が伸びたのは、厳しいロックダウンを敢行したマクロン政権に反発する民意が、ルペンへと流れた結果である。

■「脱悪魔化」で抵抗感低下 仏極右、若者の支持拡大―フランス大統領選2021425

ルペン党首(52)は、前身政党「国民戦線」創設者の実父ジャンマリ氏の除名処分や党名変更を経て、人種差別的イメージの払拭に努めてきた。世論調査によると、25~34歳の層でルペン氏を支持すると答えた人の割合は29%に上り、17年の前回大統領選時調査の23%から上昇。マクロン大統領(43)を支持すると答えたのは約20%、17年の29%から低下した。

■フランスで再び拡大するポピュリズム 大統領選の行方は202163

来年(2022年)のフランス大統領選挙に関する現時点での分析予想をまとめれば、国民の右傾化や左派票のマクロン離れにより、ルペン勝利の可能性も出てきているというものだろう。急速に進展したグローバル化の下で生ずる格差を背景に経済的に恵まれない大量の無党派層が形成され、その受け皿として、既存の政党や政策を批判し改革を訴えるポピュリスト政治家が台頭するのである。

フランスにおいてこのような現象が顕著になったのは最近。マクロンは、その独善的な政治スタイルや必要ではあるが強引な経済改革により黄色いベスト運動を招き、更にはコロナ対策に手間取ることにより国民の期待感を裏切っている。他方でルペンは、極右のイメージを払拭する努力を重ね、反テロ、反移民、反イスラム感情による国民の右傾化を追い風として支持基盤を広げて成果を上げている。

■マクロン大統領、ほおを平手打ちされる 肝いりの視察中202168

マクロン大統領が8日昼ごろ、仏南東部で地方視察中に、住民とみられる男にほおを平手打ちされた。マクロン氏の正面にいた男の手を握り、会話を始めようとしたところ、男に右手でいきなり左ほおを殴られた。男は「マクロン主義、打倒」などと叫んでいたという。マクロン氏は来年4月に控える大統領選をにらみ、今月2日に足かけ2カ月の地方行脚を開始。コロナ後の課題を探り、住民とやりとりする気さくなイメージを広める狙いだった。

List    投稿者 dairinin | 2021-06-17 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kanekashi.com/blog/2021/06/8435.html/trackback


Comment



Comment