2021-06-10

ドイツで緑の党が躍進しているのは、反金貸し勢力の巻き返しか?

20210520at40S_p前回は『今年9月のメルケル首相引退を控え、不透明な状況が続くドイツ』で、最大与党キリスト教民主同盟(CDU)2つの州議会選挙で大敗し、ドイツの政治が混乱していることをお伝えしました。その後、緑の党が40才2児の母のベーアボック氏を首相候補とし、政党支持率でCDUを上回るなど混乱は続いています。今後、ドイツはどうなるのでしょうか。 

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ドイツでは今年の9月に総選挙が行われます。そこで今までドイツ、EUで強い指導力を発揮してきたメルケル首相が政界を引退します。その後継者としてキリスト教民主同盟(CDU)の党首に選ばれたのがラシェット党首です。しかし人気は高くありません。経営者1,500人超を対象にした次期首相に関する調査では、緑の党のベーアボック氏が26.5%で1、次いで自由民主党党首のリンドナー氏が16.2%、CDUのラシェット氏は14.3%で3です。

緑の党が、環境や気候変動への問題意識の高まりを追い風にしているのは理解できますが、不思議なのはCDUが環境重視に政策転換しないことです。別の投稿で紹介しましたが、EUでは環境対策とデジタル投資を新たな市場拡大の武器として金貸し勢力が復活しつつあります。キリスト教民主同盟(CDU)はドイツの中でEU推進の中心をになった党であり、EUの方針に従って環境政策を強化すれば、緑の党を逆転することも可能なはずです。ちなみに日本の菅政権は、カーボンニュートラル、DXに舵を切りました。

ドイツのCDUが、環境政策で緑の党に対抗しようとしないのは何故か。一つ考えられるのは、EUとドイツ=CDUは同じ金貸し勢力側で、環境対策とデジタル投資を新たな市場拡大の武器にしようとしている。それに対して、緑の党は市場拡大そのものを否定する反金貸し勢力であると言う可能性です。緑の党の環境政策は過激で、それに対抗したら市場拡大を維持できなくなるのでCDUは対抗できないのかもしれません。

緑の党がドイツの政権を取った場合、経済よりも環境を重視して市場縮小の政策に転換する可能性がありそうです。それだけに、ドイツ国民の支持を簡単に得られないとする予測もあります。6月に行われた州議会選挙ではCDUが勝利しており、激闘は続いているようです。ドイツで反市場派、反金貸し勢力が勝利すれば、EU全体にその波が広がっていく可能性もあります。9月に行われるドイツの総選挙は注目です。

 

■国民的関心は「移民」から「環境」へ。メルケル首相引退後めぐる独州議会選挙で「地殻変動の兆し」2021326

与党・キリスト教民主同盟(CDU)の状況はかんばしくない。最新の世論調査では支持率が30%を割り込んだ。314日に行われたドイツ西部2州の選挙では大敗が報じられている。新党首ラシェット首相はメルケル後継としては力不足との声もある。

いま、頭角を現しているのが、環境や気候変動への問題意識の高まりを追い風とする緑の党だ。CDUの支持率が下降を続けるなら、緑の党とSPDで左派連立政権を樹立し、メルケル引退と同時にCDUも下野、という可能性もゼロとは言えない。

■首相候補、最大与党CDUCSUはラシェット氏、緑の党はベーアボック氏を選出2021427

ドイツ与党のCDUCSUはラシェット氏を首相候補として選出した。緑の党は、共同党首を務めるベーアボック氏を選出した。緑の党として、初の女性首相候補の指名となる。

経済誌が実施した、経営者1,500人超を対象にした次期首相に関する調査では、緑の党のベーアボック氏が26.5と高い支持を獲得。次いで、自由民主党党首のリンドナー氏が16.2%、ラシェット氏(CDU)は14.3、ショルツ氏(SPD)が10.5%と続く。420日の世論調査では、最大与党のCDU7ポイント低下(21%)した一方、野党の緑の党が5ポイント増(28%)となり、与野党の支持率が逆転した。

■ドイツの次期首相候補が出そろった202156

SPDは、ショルツ財務相(62歳)、CDU/CSUはラシェット氏(60歳)、緑の党は、共同代表のうち女性で40歳のベーアボック氏を首相候補とした。

緑の党には環境問題に対する世界的な関心の高まりという追い風があるが、カーボンニュートラル実現に向けて非常に野心的な目標設定がなされ、国民の幅広い支持を得るのは簡単ではないと考えられる。一方、CDU/CSUの支持率回復の鍵を握るのは政府のコロナ対策の可否だが、ワクチン接種ペースの加速に伴ってさまざまな行動制限等が緩和されれば、CDU/CSUの支持率が持ち直すチャンスは十分にあるだろう。

■緑の党が優勢―9月のドイツ総選挙に向けて2021517

56日に発表された世論調査によれば、緑の党の支持率は26%でトップ、それに続くのはCDU/CSU23SPD14%、ドイツのための選択肢(AfD12%、自由民主党(FDP11%、左派党(Linke6%、その他8%となっている。現在の支持率のままであれば緑の党の首相候補が首相となる可能性が高い。緑の党の首相候補であるベーアボック氏は1980年生まれの40歳、2013年から連邦議会議員であり、2018年から党の共同党首を務めている。2児の母親である。

■独、緑の党に勢い グレタさん一役、首相獲得も視野2021521

9月に総選挙を控えるドイツで、環境政党の野党・緑の党が勢いを増している。メルケル首相の与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と支持率で競り合い、緑の党として初の首相ポスト獲得も視野に入る。背景には、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが火を付けた環境意識の高まりと、既存政治への不信が相まったうねりがある。

■ドイツ・メルケル首相の与党、極右政党抑え大勝の見通し 総選挙前の州議会選202167

ドイツで9月に予定される連邦議会選挙(総選挙)の前哨戦と位置づけられた東部の州議会選挙が6日行われ、出口調査によると、アンゲラ・メルケル首相が所属する中道右派の与党が、極右政党を退けて勝利する見通しとなった。CDUが得票率36%、AfD22.5%だったとみられる。左翼党が11%、SPD8.5%、緑の党とFDPは共に6.5

ただ、多くのアナリストは今回のCDUの勝利について、州首相の人気によるところが大きいとみている。総選挙でのCDUの勝利と政権与党の座はまったく保証されてはいないとした。世論調査は、今年の総選挙における得票率を、CDUCSUが計25%、「緑の党」は23%としている。

List    投稿者 dairinin | 2021-06-10 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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