2019-09-05

反グローバリズムの潮流(イギリスのEU離脱は国会の巻き返しで停滞、総選挙に進む?)

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前回は、イギリスのジョンソン首相が国会を閉会にして、EU離脱に向けて突き進んでいるとお伝えしましたが、今度はイギリス国会の野党が、反撃に出ました。9月3日に開会した議会は、まず議事進行の主導権を政府から議員側に移す動議を賛成328票、反対301票で可決。その上で9月4日には「合意なしブレグジット」を阻止する法案を賛成327、反対299で可決。さらに、これに対抗するためにジョンソン首相が提案した解散総選挙の議案を否決したのです。今後、イギリスのEU離脱はどうなるのでしょうか。

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まず、「合意なしブレグジット」を阻止する法案ですが、現段階では下院で可決されただけで、上院の合意も必要です。これがどうなるか調べてみた所、上院は5日午前1時半までこの法案を審議し、6日午後5時までに上院での手続きは全て終了する見込みだと発表。9日に上院による修正を審議し、女王の裁可を経て正式に法律として成立するそうです。ジョンソン首相に打つ手はあるのでしょうか。

報道では、女王に裁可しないように要請する方法も紹介されていましたが、まずこの可能性は無さそうです。EUが全会一致で延期に合意しなければ延期できないので、ジョンソン首相が反対してくれる国を見つけると言う案もありましたが、これもEUの混乱をあえて招く決断をする国があるとも思えません。

可能性がありそうなのは、首相の議会解散権を制限する法律を変えて議会を解散するか、首相の不信任案を可決させる事。これであれば議会の過半数で可決することが出来るようです。そして、野党の労働党もEU離脱延期法案が成立した後であれば、解散総選挙に応じると発言していますので、このまま行くと、イギリスは解散総選挙になる可能性が高そうです。

もう一つ可能性が残されているのが、10月17日18日のEU首脳会議で、EUがジョンソン首相の提案するバックストップ条項の廃止に合意して、合意の上の離脱に至ると言うシナリオですが、これまでのEU首脳の発言を見る限り、これも可能性は無いと言ってよさそうです。

議会に決める力が無い以上、国民の信を問い直すしかない状況だとも言えます。解散総選挙になった場合、今の所、ジョンソン首相率いる保守党の支持率が高く、10月31日の離脱期限を遅らせる必要はありますが、総選挙後には今よりもEU離脱の動きが加速すると思われます。

英首相の「合意なしEU離脱」、議会がストップできるのか2019年8月30日

残された時間はわずかだが、国会議員にとって「合意なしブレグジット」を防ぐ手立てはまだある。「合意なしブレグジット」に反対する議員らが超党派の会合を開き、その後に浮上したのが「立法化」だ。議会で何が起きるかは通常、その時々の政府によるところが大きい。そのため、抵抗勢力はなんとかして、議事日程の決定権を握らなくてはならない。

どんなものでも新たな法律が成立するには、上下両院の全手続きを経なくてはならない。ふつうは何週間かかかるが、3日で終わらせることも可能だ。実際にイヴェット・クーパー議員は今年4月、EU離脱を延期させるため、急いで法案を通した。

議員が不信任投票で内閣を追い出すことも可能だ。これは早ければ、議会の夏休みが明けて審議を再開した翌日、9月4日にも可能だ。14日の期限が切れる前に、首相への不信任決議が成立し、議会が閉会となった場合、何が起こるのかは不透明だ。だが、実際問題としては代わりの内閣を組閣するだけの時間はなく、自動的に総選挙へと移行することになる。

 英首相、苦境に 下院がEU離脱延期の法案審議へ2019年9月4日

10月末までのブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)を掲げるボリス・ジョンソン英首相が苦境に立たされた。3日に再開した英下院は、議事進行の主導権を政府から議員側に移す動議を賛成328票、反対301票で可決。与党・保守党の議員21人が、欧州連合(EU)離脱に突き進む政府にストップをかける、野党側の動きに加わった。これにより下院は4日、合意なしブレグジットを阻止し、離脱期限を来年1月末まで延ばす法案の審議に入る。

 英下院、首相提案の解散総選挙を否決 ブレグジット延期法案は可決2019年9月5日

下院はまず、野党が提出したEUと離脱協定のないまま離脱する「合意なしブレグジット」を阻止する法案を賛成327、反対299で可決。首相は10月19日までに、離脱協定の議会承認を得るか、さもなければ下院から合意なし離脱の承認を取り付けなくてはならないと定めている。この締め切りが過ぎた後は、首相はイギリスの離脱期限を来年1月31日に延長するようEUに要請しなくてはならない。異例の措置として法案は、首相がEUにこれを要請する際の書簡の文言まで定めている。法案によると、もしEU側が別の離脱期限を逆提案した場合、首相は2日以内にその提案を受け入れる。ただし、その期間にEUの提案を拒否する権限は政府ではなく、下院にあるという。

上院(貴族院)は5日午前1時半までこの法案を審議した。保守党のヘンリー・アシュトン上院院内幹事長は、6日午後5時までに上院での手続きは全て終了する見込みだと発表した。当初はブレグジット派議員が多数の修正を求めたため審議が難航するとみられていたが、与野党協議の結果、反対派も支持に回ったという。下院は9日に上院による修正を審議し、女王の裁可を経て正式に法律として成立する。

ブレグジット延期法案の可決を受けて、ジョンソン首相はこれではEUと交渉ができないと反発し、議会の解散と総選挙の前倒しを提案した。イギリスでは2011年の議会任期固定法(FPA)により首相の議会解散権が制限されており、解散には内閣不信任案の可決、または下院議員の3分の2以上の同意が必要と定められている。この日の下院は、解散・総選挙に議員298人が賛成したものの、56人が反対、288人が棄権した。必要な434票には136票、足りなかった。野党労働党のコービン党首は、この日下院を通過したブレグジット延期法案が成立した後ならば総選挙の前倒しに応じるが、成立前の選挙には応じないと強調した。

 ブレグジット、ずたずたになったジョンソン氏の計画 今後のシナリオは2019年9月5日

英国法に基づくと次の総選挙は2022年となっている。もし政府が前倒しで総選挙を実施したければ議会の3分の2の賛成が必要となる。労働党が反対を続けた場合、ジョンソン氏は政権に対する不信任決議案の提出を求めたり、総選挙のための新たな法律を導入したりといった他の選択肢も検討する可能性がある。両案とも過半数の支持で実施できる。この他に、エリザベス女王(Queen Elizabeth II)にジョンソン氏のブレグジット計画に反対する法律に対して裁可を与えないよう依頼したり、ブレグジット期限延長を拒否するEU加盟国を見つけ出そうとする可能性が考えられる。

ジョンソン氏は7月に首相に就任したが、議会に3回否決されたテリーザ・メイ(Theresa May)前英首相の離脱案の内容を変えたいとの考えがある。ジョンソン氏が望みを託すのは、10月17、18日に開かれるEU首脳会議(サミット)だ。合意なき離脱の脅威からEUが妥協し、ぎりぎりでの合意にこぎ着けたい考えだ。

下院が承認した法案は、10月19日までにEUとの合意に達しなければ、2020年1月31日までEU離脱の期限を延長するよう指示している。法案は今後、上院の最終承認を得る必要があり、また、延長には最終的にEU加盟全28か国の満場一致の合意が求められる。

■ジョンソン英首相に二重の打撃 英下院に総選挙を再び持ちかける可能性も2019年9月5日

英国のジョンソン首相は、下院で可決した欧州連合(EU)離脱の再延期を求める野党法案に対抗して、解散総選挙の前倒し実施を提案して失敗したが、10月末の離脱実現を目指し、下院に再び総選挙を持ちかける可能性が指摘される。調査会社ユーガブによると、9月2~3日時点の保守党の支持率は35%で最大野党・労働党(25%)に10ポイントも差をつけた。総選挙をすぐに実施すれば、保守党が過半数の議席を獲得し、合意があってもなくても10月末の離脱を確実に実現できる可能性がある。総選挙の提案をめぐる採決で棄権した200人以上の野党議員の大半は法案成立を優先したとみられ、ジョンソン氏が再び総選挙を提案すれば野党が賛成にまわる可能性がある。総選挙で保守党が過半数の議席を獲得すれば、一度成立した法案を無効化するための新たな法案を可決する道も開ける

List    投稿者 dairinin | 2019-09-05 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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