2015-05-27

米国覇権は終わっている③ 中東激変はなぜか?

中東地図

引き続き、マスコミが伝えない本質を追求するという観点から、世界の覇権移行を示すトピックスとして、中東の激変を考えてみます。

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●サウジの反米

サウジアラビアは米国への依存度を急激に減らし、ロシアと中国へ異様な接近をみせている。サウジへ中国は最新鋭ミサイルを供与した。イランを射程にできるスグレモノで、これにより旧式のミサイルを軍事パレードで公開した。

>そしてついにサウジは米ドル基軸一辺倒から離脱し、一部に人民元、ルーブル決済をみとめる動きを見せている。

 

●イスラエルのロシア、中国接近

>オバマ大統領はイスラエル擁護という米国の伝統的外交政策を変更し、イスラエルに敵対的でさえある。
>この点ではアラブ諸国の支持があるが、これによって、いまではオバマとネタにニヤフ首相とは犬猿の仲となり、同時にイスラエルはロシアとの関係の濃度を深めた。

中国とイスラエルも武器輸出で中国との間に秘密協定が存在するように、最新鋭ミサイル、戦車技術などを中国へ供与している。

 

●アラブの春の頓挫

>ベンアリ亡命後のチュニジアではテロが不気味にうなり、リビアはカダフィ亡き後の無政府状態、エジプトはイスラム原理主義政権が誕生し大混乱のはてに軍事政権が誕生した。
>米国はシシ軍事政権を支持せざるをえず、またロシアがエジプトへ再接近を果たした。

中東の激変>より引用

 

●中東が激変しているのはなぜか?

サウジの反米化が象徴ですが、かつては米国傀儡国家であったサウジが反旗を翻しているのは、米国の支配力が衰弱していることを物語っています。米国の覇権が強力だったのは、ロックフェラーが石油を支配し、石油の利益で軍事力を拡大できたからです。サウジもロックフェラーの石油利権の恩恵に与ることができたから、米国に従順な傀儡国家でいたわけです。

ところが、08年のリーマンショックで石油価格は下落し、ロックフェラーの支配力も低下して行きます。サウジにとっても米国の傀儡を続けるメリットはありません。代わってBRICSが台頭し、とりわけ中国は石油の大口の輸出先として浮上してきています。サウジの対米石油輸出は急減し、中国に力点が移ってきています。
サウジアラビアの対米原油輸出量は急減、中国に力点-海外メディア>参照

イスラエルとロシア、中国の接近もロックフェラーの支配力の低下が背景にあると思われます。イスラエルはロックフェラー→共和党の親イスラエル(ユダヤ)勢力→ネオコンによって支えられてきましたが、オバマ大統領がイスラエルに敵対的なスタンスを取っているのは、背後にロスチャイルド→民主党の判断があるものと考えられます。BRICSを米国に代わる覇権国家として育てるのがロスチャイルドの戦略であり、ロックフェラーとの戦いに勝利したロスチャイルドが、イスラエルのロシア、中国への接近を後押ししていると見るべきでしょう。

エジプトが象徴ですが、アラブの春も支配力を失ったロックフェラー→米国の悪あがきでした。エジプトも米国の傀儡国家でしたが、08年のリーマンショック→石油価格の低下、ドル危機で支配力が低下して行き、民主化運動という形で経済悪化、貧富の格差拡大に対する若者層の不満が爆発しました。ロックフェラー→米国は、裏で民主化→市場化を画策し、エジプト支配の延命を図ろうとしたと見られますが、その思惑は頓挫し、ロシアがエジプトに再接近しています。
『なぜ今、中東民主化が起きているのか?』【10】まとめ(1)金貸し支配との関係はどうなっているのか?>参照

いずれのケースも共通して、中東におけるロックフェラー→米国の支配力の著しい低下が背景にあります。中東激変も、米国覇権の終焉を示す構造変化なのです。

List    投稿者 yukitake | 2015-05-27 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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