トランプ大統領のロシア疑惑(来週にも捜査終結か?その後の捜査状況は。)
マラー特別検察官による捜査が来週にも終結するとCNNが報道しました。2年間の捜査の結果、決定的な証拠を押さえることが出来たのでしょうか。1月10日の投稿「トランプ大統領のロシア疑惑(叩かれて埃は出たが、弾劾までは進まない?)」では、それまでに明らかになったこととして、「選挙期間中もロシアでトランプタワーの計画が進んでいたのにそれをごまかしていたとか、大統領選挙後就任前にトランプ候補側近がロシア高官と意見交換したのをごまかしていたとか、ポルノ女優に対する口止め料を選挙活動費に認定して選挙違反だとするような内容」であることをお伝えしました。その後の捜査状況を調べてみました。
一番大きな進展は、トランプ氏の長年の盟友で2016年陣営顧問のロジャー・ストーン被告が逮捕されたことです。彼は、ヒラリークリントンが私用メールを公用に使っていたことを暴露したウィキリークスと接触し、その情報をトランプ陣営に伝えていたにもかかわらず、それを認めなかった偽証罪で告訴されています。
これも、偽証罪であることがポイントで、ウィキリークスから情報収集してトランプ陣営に情報を流していたこと自体は、ロシア疑惑とは無関係で、犯罪でも何でもないという事です。
次に大きな展開が、トランプ米大統領の元顧問弁護士マイケル・コーエンが2月27日に議会で証言する事ですが、その質問内容は2016年大統領選に影響を与える活動に関連したトランプ氏の借金や支払い、税法や選挙資金法の順守状況、ビジネス手法など、だそうです。これもロシア疑惑とは関係なさそうです。
このようにロシア疑惑の解明が進んでいない状況を受けてか、米連邦捜査局(FBI)のマケイブ前副長官が最近になってマスコミに盛んに登場し、ロシア疑惑の捜査を開始した経緯を説明していますが、トランプ大統領に揉み消されることを恐れたと言う理由以外に、捜査を開始した客観的な証拠は全く出されていません。
そして、反トランプの急先鋒だったマスコミが「上院諜報委員会は2年の歳月と200人にのぼる証人への喚問を経て2016年の大統領選に関わる捜査の終焉を迎えていますが、トランプ選対とロシアによる陰謀があったことを証明する直接的な証拠は何も発見できなかった」と報道するに至っています。
トランプ大統領のロシア疑惑はトランプ大統領を危険視する旧勢力の支援を受けた、司法当局幹部たちのクーデターであった可能性が高そうです。
■トランプ氏元腹心、公聴会証言へ 米議会、政権に文書要求2019年1月11日
米下院は10日、トランプ大統領の腹心だった元顧問弁護士コーエン被告が公開証言する公聴会を2月7日に開くと発表した。被告はトランプ氏から不倫問題を巡り違法な口止め料支払いを指示されたと主張しており、下院は政権側に関連文書の提出を要求。被告はトランプ氏がロシア疑惑などで事実と異なる説明をしているとも訴えている。
■クリントン“不倫弾劾裁判”から20年、トランプ大統領の訴追は困難?2019年1月16日
米大統領に対する最後の弾劾訴追は、不倫・偽証疑惑によるビル・クリントン氏(民主党、1993-2001年在任)のケースだ。クリントン氏の場合は、宣誓供述でうそをついたこと、実習生にウソの供述を示唆したことが証拠隠滅と認定され、弾劾訴追の理由とされた。クリントン疑惑を論じるとき、妻以外の女性と不倫関係を持ったことで訴追されたと考えている人が少なくないようだが、誤った見方だ。
2月12日の評決は「無罪」。2項目あった訴因について、「有罪」はいずれも半数にも満たず、野党共和党からも反対票が投じられて、とりあえずクリントン氏の“勝利”という結果に終わった。私見ではあるが、クリントン氏が弾劾を免れたひとつの理由は、裁判を担った上院議員、国民の間に、大統領職の行為は職を免ぜられるほどの犯罪だったのかという疑問ではなかったか。
現職、トランプ大統領、その弾劾の可能性はどうだろう。トランプ氏が弾劾訴追されるとすれば、“訴因”は2つ。ひとつは、クリントン氏同様、女性関係だ。2016年の大統領選当時、トランプ氏はかつて関係のあったポルノ女優に対して、“口止め料”として1400万円を支払ったが、カネの出所が選挙資金からだったと疑われている。事実なら選挙目的以外に使うことを禁じた選挙資金法に抵触する。実際に金を支払った大統領顧問弁護士は、別の事件で禁固3年の判決を受け、口止め料に関しても、「大統領の指示」を認めている。
大統領にとって深刻なのは、むしろ“ロシア・ゲート事件”だろう、2016年の大統領選の際、ロシアの情報機関が民主党の情報システムに侵入、トランプ氏の対立候補だったクリントン女史に不利になるような電子メールを大量に流出させた。クリントン陣営に打撃になったことから、トランプ陣営がこれに関与、共謀していたのではないかという憶測がなされている。氏の当選から就任までの間に、側近がロシア側と接触、制裁解除について話し合っていた事実が明らかになり、ロシア疑惑を捜査していたFBIの前長官を大統領が就任後の一昨年5月、突然解任したことなどから、大統領関与の疑惑がくすぶり続けている。
■フェイクニュースを一気に拡散する米国メディアの病2019年1月23日
「トランプ大統領が元顧問弁護士に議会での偽証を指示した」という衝撃的なニュースがワシントンの国政を揺るがせた。米国の各メディアがロシア疑惑の新展開として大々的に報じ、日本の主要メディアも「大統領の偽証命令」として報道した。ところが、すぐにこのニュースはフェイクニュース(偽ニュース)であることが判明した。
この報道を大スクープとして最初に流したニュースサイト「バズフィード・ニュース」は、ロシア疑惑を捜査しているモラー特別検察官の事務所から情報を得たと言明していた。ところが、である。このニュースがアメリカや日本、さらには世界各国に伝わった翌日、当のモラー特別検察官がこの情報を否定した。バズフィードの報道はフェイクニュースだったのだ。
■トランプ氏盟友を偽証罪で起訴、米特別検察官がロシア疑惑巡り2019年1月26日
2016年米大統領選のロシア関与疑惑で、大陪審は25日までに、捜査妨害や証人買収、偽証罪など7件の罪で、トランプ氏の長年の盟友で2016年陣営顧問のロジャー・ストーン被告(66)を起訴した。ストーン被告は同日未明、逮捕された。
起訴状によると、内部告発サイト「ウィキリークス」が盗難被害に遭った民主党のメールを公開する計画をあらかじめ知っていた可能性を他人にほのめかした件などで議会で虚偽証言を行ったという。
起訴状は、ストーン被告がある組織やそのトップ、盗まれたメール所持に関して選挙期間中に触れたとされる多数のメールやテキストメッセージに詳しく言及。被告は虚偽証言を行った際、なお多くの通信記録を持っていたとしている。また、ある証人に虚偽証言や議会調査に情報を公開しないよう説得を試みたとされる。
これに対しストーン被告は無実を主張。記者団に対し、逮捕は政治的な動機に基づくとした上で「2年間の捜査の末、この日明らかとなった起訴理由は、ロシアとの共謀やウィキリークスとの協力、その他16年の大統領選に絡む不正行為のいずれとも全く関係がない」と批判した。
■トランプ氏元選対本部長が「意図的に虚偽供述」2019年2月14日
ワシントンの連邦地裁は13日、トランプ陣営の元選対本部長、マナフォート被告(脱税などの罪で有罪評決)がロシア情報機関の関係者との接触などについて、捜査当局に対して意図的に虚偽の供述をしていたと認定した。
マナフォート被告は16年6月、トランプ氏の長男、ジュニア氏らとともに、民主党のクリントン元国務長官の陣営に不利な情報の提供を持ちかけたロシア人の女性弁護士らと面会していた。また、クリントン陣営内の大量のメールが公表された内部告発サイト「ウィキリークス」創設者のジュリアン・アサーンジ氏と密会したとも報じられた。こうしたマナフォート被告の行動に、トランプ氏が関わっていたかが疑惑捜査では注目点になっているが、現時点で同氏の関与を裏付けるような情報は明るみに出ていない。
■ロシア疑惑「もみ消し」恐れ捜査開始した-解任された前FBI副長官2019年2月15日
昨年3月に解任されたアンドルー・マッケイブ前連邦捜査局(FBI)副長官は、トランプ大統領とロシアとの癒着を巡って司法活動と情報活動が妨害された疑惑について、2017年に捜査を開始したのは自分が解雇された後にもみ消されることがないようにしたかったからだと述べた。
14日に放映されたインタビュー抄録で、「私が話をした相手は、大統領選に出馬し、最も手ごわい敵国であるロシアの力を借りて、その望みを遂げた可能性があった」とマッケイブ氏は発言。「ロシア捜査をしっかりとした軌道に乗せ、後戻りできないようにすることができるかというのが、私にとって重大な関心事だった」と説明。「私が近く職務から外される、あるいは更迭や解雇となれば、この捜査は未完に終わるか、跡形も無くもみ消されてしまうだろうと考えた」と語った。
■米司法長官にバー氏就任…ロシア疑惑捜査指揮へ2019年2月15日
上院は14日の本会議で、トランプ大統領が司法長官に指名したウィリアム・バー氏(68)の人事を賛成54、反対45で承認した。バー氏は14日、宣誓式を経て司法長官に就任した。バー氏は、ロバート・モラー特別検察官によるトランプ政権のロシア疑惑捜査を指揮・監督する。捜査には介入しない考えを示しているが、民主党はバー氏がモラー氏のまとめた捜査報告書を全面公開しない恐れがあるとして懸念を示している。
■サンダース大統領報道官を聴取=ロシア疑惑で特別検察官2019年2月16日
米CNNテレビは15日、ロシアによる2016年米大統領選介入疑惑を捜査するモラー特別検察官のチームが、サンダース大統領報道官の事情聴取を行ったと報じた。サンダース氏はCNNの取材に「大統領は私に、他の政権当局者と同様、特別検察官に全面協力するよう促した」と説明。「喜んで自発的に(事情聴取の)席に着いた」と語った。
■「ロシア疑惑」は司法当局幹部のクーデターだったのか トランプ関与の証拠は何も発見できず2019年2月18日
「ロシア疑惑」に確証なし「MSNBCにサンキュー」トランプ米大統領が13日(現地時間)こうツィートした。SNBCとはCNNと反トランプの厳しさを競っているケーブルニュース局で、最近では最もトランプ大統領に批判的な放送局と位置づけられている。
トランプ大統領が感謝したのは、その日の朝MSNBCが放送したニュースだった。その中で国家安全保障問題担当のケン・ディラニアン記者はこうリポートした。「上院諜報委員会は2年の歳月と200人にのぼる証人への喚問を経て2016年の大統領選に関わる捜査の終焉を迎えていますが、トランプ選対とロシアによる陰謀があったことを証明する直接的な証拠は何も発見できなかったと委員会の共和党、民主党議員共に言っています」
そうした折も折、この「ロシア疑惑」問題に火をつけた一人であるアンドリュー・マッケイブ前連邦捜査局(FBI)副長官が新著書「脅威」を上梓し、この中でトランプ氏が選挙に勝ったのはロシアの関与があったからに違いないという思い込みと、トランプ氏のロシアに好意的な態度から司法省の幹部有志の間でトランプ氏を追放するために「ロシア疑惑」捜査が始まったことを明らかにした。「ロシア疑惑」はトランプ大統領を危険視する司法当局幹部たちが創り出したものという考えが広まってきている。
■トランプ氏、コミー氏解任の文書でロシア言及望んだ-前FBI副長官2019年2月18日
アンドルー・マッケイブ前米連邦捜査局(FBI)副長官は17日放送されたCBSの番組「60ミニッツ」で、トランプ米大統領がジェームズ・コミー前FBI長官解任に関する文書でロシア疑惑捜査への言及を望んだと話した。ローゼンスタイン副長官は「文書にロシアを入れる必要がないことを大統領に説明したが、大統領は『それは分かるが、とにかくロシアを文書に入れてほしい』と答えた」と、マッケイブ氏は語った。
マッケイブ氏はまた、北朝鮮が米国を射程に収める弾道ミサイルを保有していないとロシアのプーチン大統領から伝えられたとして、トランプ大統領が北朝鮮による米国へのミサイル攻撃の可能性を信じていないと話すのをFBI当局者が聞いたという案件にも言及した。ただこの当局者の名前は明らかにしなかった。
■トランプ氏はロシア協力者の「可能性あり」 前FBI副長官2019年2月20日
米連邦捜査局(FBI)のマケイブ前副長官は19日、CNNの番組で「トランプ大統領がロシアの協力者かもしれないとの考えに今も変わりはないか」と問われ、「その可能性はあると思う」と答えた。
マケイブ氏は2017年5月にFBIのコミー長官(当時)が解任された後、一時的にFBI長官代行を務めた。トランプ氏はロシア疑惑の捜査をやめさせる目的でコミー氏を解任した疑いがあったため、マケイブ氏がトランプ氏による司法妨害疑惑を捜査するよう指示を出したとされる。
■ロシア疑惑、来週にも捜査終結か 米CNNが伝える2019年2月21日
マラー特別検察官による捜査が来週にも終結すると、米CNNが20日伝えた。マラー氏は捜査報告書をバー司法長官に機密文書として提出、バー氏が捜査終結を宣言し、内容を議会に報告する。今月14日に就任したばかりのバー氏は、就任前はマラー氏の捜査手法について米メディアで批判していたこともある。そのため、民主党からは中立性を疑問視する声も出ている。
マラー氏はこれまでトランプ氏の元側近やロシアの軍情報当局者らを含む計34人を訴追した。これまでの訴追では、選挙介入を巡るトランプ氏側とロシアとの具体的な共謀までは明らかになっていない。
■トランプ大統領の元弁護士、来週27日に下院監視委で証言へ2019年2月21日
トランプ米大統領の元顧問弁護士マイケル・コーエン被告は、2月27日に下院監視・政府改革委員会で証言する。コーエン被告の証言は当初2月7日の予定だったが、被告の家族がトランプ氏から脅しを受けているとして、延期されていた。コーエン被告はロシア疑惑を巡る偽証罪などで起訴された後、司法取引に応じ、昨年12月に禁錮3年の刑が言い渡された。
監視委員会の内部文書によると、コーエン被告の証言では、2016年大統領選に影響を与える活動に関連したトランプ氏の借金や支払い、トランプ氏の税法や選挙資金法の順守状況、トランプ氏のビジネス手法などの質問が予定されている。
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