2019-09-19

反グローバリズムの潮流(スペインは総選挙後、政権が発足できず混乱が続く)

img_98efb10937f2e5d4746bcc9cbb93e35d23520今年の4月に行われたスペインの総選挙で、極右勢力が躍進した事はお伝えしましたが、その後、半年以上たってもスペインでは政権が発足できず混乱が続いていました。そしてついに、総選挙後、政権が樹立できないまま期限が超過し、再度の総選挙に突き進むことになりました。一体、何が起こっているのでしょうか。

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報道では、スペインがヨーロッパでは珍しく、単独政権が続いてきたので、連立政権を組むノウハウが育っていないために混乱していると言う分析もありましたが、ヨーロッパ全体が政治的に不安定になってきており、それが、単独政権を維持してきたスペインにまで及んだと捉えるべきでしょう。

スペインでは、社会労働党と国民党の2大政党だったのが、2015年12月の選挙で急進左派ポデモスや自由主義経済の推進を掲げるシウダダノスが台頭。さらに今年4月の選挙では、新興極右政党ボックス(VOX)が議席を獲得。政治情勢はいっそう複雑化している。

イギリスはEU離脱を巡って大混乱、ドイツは与党が選挙で大敗しメルケル首相が辞意を表明、経済的にも低迷、フランスはマクロン大統領の失言を発端に大規模デモが発生し国家財政も国債比率がイタリアを上回るほどに悪化、イタリアでも昨年成立したばかりの政権が崩壊と、EUの主要国でも大混乱が続いています。

EU全体を見渡しても、加盟国28か国の内で21か国の政権はすべて連立政権で、単独政党では過半数を満たせない状態になっています。EUはいまだにグローバリズムが正しいと主張し続けていて、スペインの混乱を巡るマスコミ報道も旧来の秩序を維持する事が至上命題かのように報道していますが、現実は明らかに旧来の秩序が崩壊する方向に向かっています。

グローバリズムでは世界秩序は維持できない、みんなが幸せになれないことは明らかであり、グローバリズムに変わる社会を統合する新たな秩序が求められています。しかし、まだ誰も次の答えを出せないでいる。だから、スペインを始めヨーロッパ各国でこのような混乱が続いているのでしょう。

 

■安定政権の誕生と財政改革がまたれるスペイン2019年6月10日

スペインでは4月28日の総選挙 から1ヵ月半近く経ったが、新政権は依然誕生していない。社会労働党が最多議席を獲得したが、ポデモス(急進左派)と合わせ2党では下院の過半数に届かなかった。連立政権の組み合わせ候補としては、①社会労働党と新興政党シウダノス(中道右派)、②左派2党への地域政党の閣外協力が挙げられるが5月26日の欧州議会選挙と地方議会選挙が終わるまで政権協議は見送られてきた

そこで社会労働党は党勢にかげりのみえるシウダノスに上記①の連立を呼び掛けているが、シウダノス側は社会労働党への協力を従来否定しており、呼び掛けに応じるか依然不透明である。①の連立が実現しない場合、②の形で新政権樹立を目指すことになる。

こうしたなかで筆者が注目しているのが、スペインの今後の財政政策運営である。スペイン 経済は、2010年代前半の欧州債務危機を乗り越え、実質GDP成長率は今や欧州主要国の中で相対的に高いほうであるが、過大な公的債務残高は引き続き懸念材料である。ポデモスが所得再分配の強化を志向しており、また地方財政引き締めに抵抗する地域政党に配慮する必要性もあることを勘案すると、新政権が財政緊縮を進めることは容易でなかろう。

シウダノスが構造的な財政収支の健全化を志向している点が大変心強い。ただし、同党はカタルーニャ州の独立阻止が党是であるため、昨年6月の左派政権誕生に伴い下火になっていた中央政府と同州政府の緊張関係が再び強まるおそれが大きい。そのため、新政権が同州の独立問題への対応に追われ、財政改革に十分注力できない可能性が生じ得る 。

■スペイン下院、サンチェス暫定首相の正式就任を否決-25日に再投票2019年7月24日

スペイン下院は23日、サンチェス暫定首相が正式な首相に就任するための第1回信任投票を否決した。急進左派政党ポデモスは、サンチェス氏率いる社会労働党と連立を組む場合の条件についてかねてから不満を示唆しており、今回は投票を棄権した。第2回投票で過半数の信任票を得ることができれば、サンチェス氏は正式に首相に就任する。

■スペイン、首相の再任否決11月に再選挙か、サンチェス氏2019年7月25日

スペイン下院(350議席)は25日、4月末の総選挙に基づく新政権樹立に向け、首相再任を目指す穏健左派、社会労働党(PSOE)のペドロ・サンチェス氏(47)を信任するかどうか再投票を行い、反対多数で改めて否決した。サンチェス氏は23日の投票で必要な過半数の票を得られず、再投票となった。再投票では賛成が反対を上回れば可決となるが、PSOEと急進左派ポデモスの連立交渉が閣僚ポストの割り当てを巡って不調に終わり、賛成(124票)が反対(155票)を下回った。

■総選挙から3か月。いまだ新政府が誕生しないスペインの異常事態。年明けまで実質的無政府状態の可能性も2019年8月3日

4月28日に実施されたスペイン総選挙から今日まで新政府が誕生しない状態が続いている。よって、総選挙前までの政府が暫定的に政権を担っている状態だ。

欧州連合(EU)の加盟国28か国の内で21か国の政権はすべて連立政権である。単独政党では過半数を満たさないからである。例えば、ドイツ(3政党による連立)、フランス(3政党)、イタリア(2政党)、ハンガリー(2政党)、ベルギー(3政党)、デンマーク(3政党)、フィンランド(5政党)、オランダ(4政党)、ポーランド(3政党)、スウェーデン(2政党)といった具合だ。

スペインではこれまで連立政権を誕生させるという「政治文化」が欠如しているのだ。1976年から民主化に移行して40年間は常に単独政党で政権を運営して来た。社会労働党と国民党の2大政党がスペイン政治を交互に担って来たのだ。ところが、40年のマンネリ化した政治から政治の腐敗や社会の不平等などに若者の間から不満が生じてそれが新しい政党の誕生を生んだ。ポデーモスがそうである。また、カタルーニャの独立問題に反発して政党シウダダノスも誕生した。

今回の選挙結果から、社会労働党の123議席とシウダダノスの57議席を足せば180議席となって過半数を確保できた。ところが、シウダダノスは選挙選中から中道から右派に方向転換するようになり、カタルーニャ問題で柔軟姿勢を保っている社会労働党を強く批判もした。その結果、両党が連携するのは困難になっていた。

シウダダノスとの連携のかわりに、サンチェス首相が視線を向けたのがポデーモスとの連携であった。しかし、左派ポピュリズム政党ポデーモスの党首は、大学の政治学教授だったパブロ・イグレシアスであり、彼もまた自己主張の強い政治家だ。連携するのに副首相のポストと厚生省、労働省,科学省、文部省のポストを交換条件として要求した。当初は財務省のポストも要望していた。一旦政権に就いても過半数を満たさない上に、ポデーモスの影響が社会労働党の政策の遂行に邪魔になる可能性があるとして、お飾り的な副首相のポストに加え厚生省、住宅相、平等省の3つの省のポストを与えるとした。結局、双方の間で合意に至らなかった。

■スペイン世論調査、社会労働党が支持率リード拡大2019年9月3日

ムンド紙に掲載された調査会社シグマ・ドスの世論調査によると、社会労働党の予想得票率は33.4%、保守派の国民党(PP)は19%、急進左派政党ポデモスは14.2%となった。

■国王が各党首と面会へ=総選挙の回避模索-スペイン2019年9月13日

4月の総選挙後、政権樹立が難航しているスペインの国王フェリペ6世が16、17日の両日、行き詰まっている連立協議の進展に向け、各党党首らと面会する。暫定政権を率いるサンチェス氏が今月23日までに連立協議をまとめられなければ、11月10日にもやり直し選挙が行われる。

■スペイン、11月にやり直し総選挙へ 連立交渉決裂2019年9月18日

スペインの暫定政権を率いるペドロ・サンチェス首相は17日夜の記者会見で、11月10日にやり直し総選挙を行うと発表した。同国での総選挙は過去4年で4回目。世論調査によると、社会労働党はやり直し選挙で議席を積み増すものの、依然として過半数には届かないとみられている。

スペインでは2015年12月の選挙で急進左派ポデモス(Podemos)や自由主義経済の推進を掲げるシウダダノス(Ciudadanos)が台頭。さらに今年4月の選挙では、新興極右政党ボックス(VOX)が議席を獲得。政治情勢はいっそう複雑化している。

List    投稿者 dairinin | 2019-09-19 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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