2017-11-16

習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想とは

endo1710222228-thumb-720xauto中国の第19回党大会で、引き続き総書記(国家主席)に選ばれた習近平氏、その権力基盤を盤石なものにしたと報道されていましたが、習近平は何を実現し、なぜ、権力を手にしたのか調べてみました。それを一言であらわしたのが、「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」中国共産党の規約にこの言葉が盛り込まれたそうですが、一体どのような意味があるのでしょうか。

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まず、中国共産党の規約に習近平氏の名前が盛り込まれた意味です。中国共産党の規約にこれまで盛り込まれた思想で個人名が付されているのは、「マルクス・レーニン主義思想、毛沢東思想、鄧小平理論、三つの代表(重要思想)、科学的発展観」なのです。このうち、中国人の名前がついているのは毛沢東思想、鄧小平理論の二つです。思想という言葉がついている毛沢東の方が、理論と言う言葉がついている鄧小平より上です。習近平には思想という言葉が使われており、中国で毛沢東と並び立つ指導者と認められたことを示しています。

次に、なぜ習近平はここまで高く評価されたのかです。それを表しているのが、「新時代の中国」と言う言葉です。習近平は演説で中国を大きく3つの時代に分け、「站起来、富起来、強起来!」と表現しました。「站起来(立ち上がる)」とは新中国(中華人民共和国)が誕生した日を指す「毛沢東時代」です。「富起来(豊かになる)」とは、毛沢東の死後、鄧小平が「改革開放」を唱えてから中国が豊かになり始めた「鄧小平時代」です。「強起来(強くなる)」とは中国が経済強国、軍事強国として「強国化」した「習近平時代」です。

習近平氏は、中国をアメリカに次ぐ世界第2位の大国に成長させ、2050年にはアメリカをしのぐ世界第一の強国になると、党大会で宣言したのです。中国人の夢であった、強い中国の復活を成し遂げたと言う意味で、中華人民共和国建国の祖である毛沢東と並び立つ、国家指導者と言う評価を獲得したのです。

では、どのようにして習近平氏は、中国の強化に成功したのでしょうか。それが、中国の特色ある社会主義思想です。これはもともと鄧小平が作り出した言葉ですが、中国が豊かになるために社会主義でありながら個人の利益追求を認めたことを指しています。鄧小平の時代から中国は徐々に経済的な豊かさを実現して行きましたが、共産党独裁政権下で個人の利益追求を認めると一気にわいろによる腐敗が蔓延し、中国共産党政権は崩壊の危機を迎えます。

習近平は、腐敗の撲滅を第一の目標に掲げて国家主席に就任し、中国の特色ある社会主義思想を崩壊から守り、中国をアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国に成長させたのです。習近平氏が今回の党大会でより強い権力を獲得したことで、中国の成長基盤が強化されたことは間違いなさそうです。習近平氏は2050年までに中国が現代化された社会主義の「強国」となり、世界に大きな影響力を持つようになると強調したそうですが、この目標はかなり実現性が高そうです。

習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想は、中国が世界一の経済大国となることで、社会主義思想が資本主義思想を超えることが可能だと証明することにもなります。

 

■中国共産党大会が開幕、習近平「新時代の社会主義国築く」2017年10月18日

中国共産党の習近平総書記(国家主席)は18日、党大会開幕に当たって演説し、共産党の揺るぎない指導の下で世界に開かれた「新しい時代」に向けて、「現代の社会主義国」を築くと表明した。

習氏は、海外からの投資規制を緩和し、サービス部門へのアクセスを拡大するほか、人民元や金融システムについて市場志向の改革を深化する考えを示した。一方で、国有企業の強化にも同時に取り組むとした。中国は世界と全面的に関わるとし、気候変動問題に取り組む方針を改めて表明。

習氏は、2035年までに「基本的に」現代化された社会主義国を構築するという構想を提示。世界で最も革新的な国の1つとなるとし、都市部と農村部の所得格差の大幅縮小、環境問題の解消を目指すとした。

2050年までに中国が現代化された社会主義の「強国」となり、世界に大きな影響力を持つようになると強調した。

このほか、中国の政治制度は国民の基本的な利益を守る最も広範かつ誠実で、効果的な方法だと訴え、「他国の制度を単に機械的に模倣すべきではない」と述べた。

習氏はさらに、共産党が直面する最大の脅威は汚職だと言明。汚職対策が「圧倒的な態勢」を整えたとして、成果を強調した。その上で、汚職との戦いは「今後も常に続く」と宣言した。

 

■習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想とは? 2017年10月23日

第19回党大会の開幕演説で習近平総書記は「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を強調した。これが24日に発表される党規約に加筆される「習近平思想」の表現となるだろう。

習演説の中でひときわ強い印象を与えた「站起来、富起来、強起来!」という言葉だ。

「站起来(立ち上がる)」とは新中国(中華人民共和国)が誕生した日を指す。「毛沢東時代」だ。「富起来(豊かになる)」とは、毛沢東の死後、鄧小平が「改革開放」を唱えてから中国が豊かになり始めた時期を指す。これは「鄧小平時代」だ。「強起来(強くなる)」とは中国が経済強国、軍事強国として「強国化」した時代で、これを「習近平時代」と位置付けている。「站起来、富起来、強起来!」というフレーズは「時代区分」を表した言葉ということができ、「習近平時代」を「新時代」と位置付けている。

つまり、アメリカに追いつけ追い越せにより、まもなく中国が世界の「ナンバー1」になることを示唆しているということになる。

それでは「中国の特色ある社会主義思想」とは具体的に何を指すのかを考察してみよう。社会主義国家は、平易な言葉でざっくり表現するなら、毛沢東が謳っていたように「金儲けをしない、誰もが平等な(貧乏だけど平等な)社会」ということになる。

鄧小平は「改革開放」を宣言して、「富める者から先に富め(先富論)」を唱えて、「金儲け」を奨励した。鄧小平は金儲けに走る中国を「特色ある社会主義国家」とし位置付けて理論武装し、人民や老人組を納得させたのである。

この強引な論理武装から生まれたのが「底なしの腐敗」である。胡錦濤は最後の総書記としての演説を「腐敗問題を解決しなければ党が滅び国が滅ぶ」と締めくくり、11月15日、新しく総書記になった習近平は、その就任演説で胡錦濤を同じ言葉を繰り返した。

■「習近平新時代中国特色社会主義思想」が党規約に! 2017年10月24日

10月24日午前、第19回党大会において、習近平思想を「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」という表現で党規約に明記することが決議された。政権一期目に政権スローガンを記入したことと、政権スローガンに個人名を記したことが、何よりも注目される。

党規約の冒頭には、「マルクス・レーニン主義思想、毛沢東思想、鄧小平理論、三つの代表(重要思想)、科学的発展観」があるが、「個人名+思想」という形の政権スローガンは「毛沢東思想」だけしかない。中国では「理論」よりも「思想」が上にランクされているので、これにより習近平は毛沢東と並んだことになる。

習近平は「世界を制覇しようとしている」のである。そのことを見誤った日本の少なからぬジャーナリスト、研究者そしてメディアが、習近平の闘いを「権力闘争」と矮小化している間に、中国は日本を遥かに追い越して、アメリカと並ぼうとしている。

■中国共産党、規約に「一帯一路」盛り込み 失敗許されぬ政策へ2017年10月25日

中国共産党大会が24日承認した党規約の改正案には、習近平総書記(国家主席)の巨大経済圏構想「一帯一路」の推進が盛り込まれ、驚きを誘った。同構想の政治的重要性はさらに増し、成功に向けて背水の陣が敷かれた形だ。

共産党が外交政策への関心を強めていることが示されたほか、中国を世界の指導的立場に押し上げたいという習氏の熱望度合いも浮き彫りになった。シドニーのシンクタンク、ロウイー・インスティテュートのフェロー、ピーター・カイ氏は、「一帯一路が習氏にとって極めて重要なのは周知の事実だ」とした上で、「しかし主要な政策、それも対外関係を伴う政策を党規約に盛り込むことは、少なくとも近年の記憶では相当重いことだ」と話す。

■習近平新指導部の上海視察は何を意味するのか? 2017年11月2日

党大会初日に習近平は総書記としての3時間24分にわたる党活動報告をしたが、そこで何度も使った言葉は「勿忘初心(初心、忘るべからず)」だった。この「初心」とは何なのか?それは中国共産党は何のために設立されたのか、という建党時の理念だ。1949年10月1日に中華人民共和国が誕生したとき、私たちはその「中国」を「中華人民共和国」と呼ばずに「新中国」と称した。「新中国」が誕生した時(その後の数年間だけ)、人民はまだ中国共産党を信じていた。

1978年12月に改革開放が始まって、30年後には底なしの腐敗が蔓延した。何が共産党だ、何が社会主義国家だ!人民の不満は爆発寸前になっている。それを言論弾圧などで抑え続けることが出来る時代ではない。どのようなことがあっても共産党がどれだけ素晴らしいかを人民に植え付け再洗脳しなければならないのだ。となれば、中国共産党が誕生した時の「初心」に戻ろうではないか。それが「勿忘初心」なのである。

「党の初心」に戻るのであって、決して毛沢東思想に戻るのではない。もし、毛沢東思想を中心にすれば、「新時代」の中国は「網民(ネット市民=ネットユーザー)」の声を聴かなければならないことになる。それは絶対にできない。だから、「中国共産党建党時の初心の威厳」により人民を圧倒し続けなければならないのである。これが上海市に新チャイナ・セブン全員が揃って行った意味である。

■中国新「中央宣講団」結成―中国に進出する日本企業にも影響か2017年11月6日

「中央宣講団」とは中国共産党の思想宣伝をするために2015年11月4日に結成されたものでから生まれたものだ。

それまでのように中宣部(中共中央宣伝部)が中央にいて、文書や新聞テレビなどを中心に一方的に情報を発信するのではなく、中央のあらゆる関係部門と提携して、地方にも出かけていき、「講話」も含めた双方向的な党宣伝を行なっていこうという組織である。

 

List    投稿者 dairinin | 2017-11-16 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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