2019-05-09

反グローバリズムの潮流(イタリアはEU離脱では無く、EU内部から切り崩す作戦)

RTS2CSUP-w960今年の初めに、イタリアでEUの反対を押し切ってベーシックインカムなどを含む予算が成立したことをお伝えしました。反EUを掲げるイタリア新政権とEUの対決はその後どうなっているか調べてみました。

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イタリアの新政権は、EUにとどまりながら反EU路線を着実に進めています。その方法がEU各国の反EU勢力と連携する方法です。イギリスのようにEUを離脱してしまうのも一つの方法ですが、それではEUへの影響力は失ってしまいます。EUにとどまりながらEUと対決して自国の主張を通すイタリアのやり方はEU離脱よりも有効かもしれません。

イタリアの国家予算成立時には、EUの圧力で財政赤字比率を2.4%から2.04%に圧縮すると約束しましたが、それも2.4%になると言い始めています。フランスのマクロン大統領とは対決姿勢を鮮明にし、中国の一帯一路の覚書に署名する等、独自路線を突き進んでいます。

5月末に行われる欧州委員選挙に向けても、スペインやハンガリーの極右勢力との連携を深めており、欧州委員議会でも極右勢力の躍進が予想されています。まだ勢力としては1/3を超えるかどうかと言ったところですが、EU懐疑派が多数になったEUがどんな状態になるのか楽しみです。

■2019年イタリア成長見通しに下振れリスク=ビスコ中銀総裁2019年2月4日

イタリア銀行(中央銀行)のビスコ総裁は2日、中銀の2019年経済成長見通しに下振れリスクがあると警告した。イタリアの国内総生産(GDP)は昨年第4・四半期に2四半期連続でマイナスとなり、景気後退入りした。

■イタリア、EU離脱の計画なし=「五つ星運動」幹部2019年2月16日

極右政党「同盟」のクラウディオ・ボルギ議員は、今後の欧州議会選挙において、ポピュリスト政党への決定的な移行が見られなければ、イタリアはEUを離脱しなければならないと発言。

イタリア連立政権の一角をなす「五つ星運動」の幹部は15日、イタリアが欧州連合(EU)を離脱する計画はなく、金融市場の混乱を避けるためにこうした発言は控えるべきとの見方を示した。

■フランスとイタリアが「大戦以来」の仲違い。「EUの危機」の背景を読み解く 2019年2月19日

イタリアのポピュリスト政党「五つ星運動」の党首であるディマイオ副首相(兼経済発展相)らがマクロン仏政権に対する抗議デモ「黄色いベスト運動」の幹部と会合を持ち、支持を表明したことなどが原因と目される。もう1人の副首相で極右政党「同盟」の党首であるサルヴィーニ副首相も1月、仏国民が「ひどい大統領から逃れられる」よう期待するなどと踏み込んだ批判を展開している。

最近では、伊政府が新年度予算編成を巡って欧州委員会と衝突したことが記憶に新しい。この際、伊政府に対し「合意が成立しないならば制裁を科す」と強い態度に出ていたのが、フランス人。2018年12月に入ると、母国フランスにおいて反体制デモが激化、これを鎮静化するために燃料税増税の凍結や最低賃金の引き上げ、残業代の非課税などが決定されるという事態に陥った。その結果、2019年のフランスの財政赤字(対GDP比)は従来の見込みの▲2.8%から▲3.2%へ拡大。

EUにおける財政ルール「安定成長協定(SGP)」は「GDP比▲3.0%」を赤字の天井と規定している。事態を客観的に評価すれば、「フランスは民衆が暴れた結果、民主主義で選んだ議会の財政政策をゆがめ、EUルールに違反した」ということである。伊政府からすれば、露骨なダブルスタンダード、えこひいき、自国優先といった姿勢に映ったはずである。

■イタリアと中国、「一帯一路」覚書に署名 主要7カ国で初2019年3月25日

覚書の署名はイタリア連立政権内で全面的には支持されず、極右政党「同盟」党首のサルビーニ副首相は、中国がイタリア市場を「植民地化する」リスクについて警告した。同副首相は習主席に会わず、22日の公式晩さん会にも出席しなかった。

ポピュリスト政党「五つ星運動」を率いるディマイオ副首相は、イタリアの対中輸出はドイツやフランスに比べて大幅に少ないと指摘し、イタリアが単に遅れを取り戻そうとしているだけだと述べている。イタリアの昨年の対中貿易赤字は176億ユーロだった。ディマイオ副首相は、可能な限り早く赤字を縮小することを目指すと語った。

■イタリア、財政赤字目標を引き上げ-EUとの新たな対立リスク高まる2019年4月9日

ブルームバーグ・ニュースが入手した新たな経済・財政見通しに関する草稿文書で明らかになった。2019年の財政赤字予想はGDPの2.5%。また、計画されている政策措置の影響を含めた目標は2.4%。財政赤字拡大の予想を受け、欧州委員会との緊張が再び高まる可能性がある。

■イタリア、債務削減の対EU公約未達へ 19年度予算2019年4月22日

イタリアの財政健全化が遅れている。同国政府は2018年12月に欧州連合(EU)の欧州委員会と合意した財政赤字削減策を事実上後退させる方針を表明した。同国政府は9日、19年の成長率見通しを従来の1.0%から0.2%に引き下げるとともに、国内総生産(GDP)比の財政赤字が2.4%になるとの見通しを示した。伊政府は欧州委と19年の財政赤字を2.04%にすることで18年12月に合意し、EU財政ルール違反に対する制裁手続きの発動を逃れていた。

■欧州右派勢力結集へ接近 伊・ハンガリー政権党首ら2019年5月3日

反移民・難民強硬派で欧州連合(EU)と対立するハンガリーのオルバン首相は2日、今月下旬の欧州議会選挙後に右派勢力の結集を図るイタリアのサルヴィーニ副首相兼内相とブダペストで会談し、協力に向け前向きな姿勢を示した。「ミスター極右」の異名も取るオルバン氏の取り込みにサルヴィーニ氏が成功すれば、EUの右傾化が進む可能性もある。

■伊財政赤字、20年に3.5%か EU規律に違反も2019年5月8日

欧州連合(EU)欧州委員会は7日、2020年にイタリアの財政赤字が国内総生産(GDP)比3.5%になるとの見通しを示した。イタリア政府は緊縮に否定的で、対立が激しくなる可能性がある。イタリア財政を巡っては、19年当初予算案で貧困層対策などに多額の費用を計上し、財政赤字が2.4%になるとしていた。

■EU懐疑派に勢い=二大会派苦戦、過半数割れも-欧州議会選2019年5月8日

欧州連合(EU)各国で23~26日に実施される欧州議会(現定数751)選挙まで約2週間。世論調査では中道右派、左派の二大会派が初めて合計での過半数を失う見通しの一方、EU懐疑派は計3分の1を超える勢い。欧州議会ではこうしたEU懐疑派が計255議席に上ると予想されている。

List    投稿者 dairinin | 2019-05-09 | Posted in 05.瓦解する基軸通貨No Comments » 

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